勤怠管理の重要性とは|労働時間を適切に管理するポイント

更新日:2024年10月28日
POINT

近年、企業には「客観的な労働時間の把握」が法律で義務付けられており、適切な勤怠管理の重要性がますます高まっています。これは法令遵守だけでなく、従業員の労働時間を正確に把握し、過重労働や過労死を防ぐためにも欠かせない取り組みです。

多くの企業がすでに何らかの方法で勤怠管理を行っているかもしれませんが、より正確な勤怠管理を実現するためには、現行の管理体制を見直し、以下の点を確認することが重要です。

  • 法律に適合しているか
  • 現場の実際の状況を正確に把握できているか

本記事では、適切な勤怠管理の重要性を再確認するとともに、労働時間を把握するための具体的なポイントについて解説します。

適切な勤怠管理を行う重要性

改めて「勤怠管理を行う重要性」について解説します。

  • 企業に「客観的な労働時間の把握」が義務付けられている
  • 働き方に関わらず従業員の勤務状況を正確に把握できる
  • 長時間労働を防ぎ従業員の健康や命を守れる
  • 不正な勤怠打刻を防いで正しく人件費を計算できる
  • 快適な職場環境を作ることで最終的な業績をアップできる

長時間労働の防止や不正打刻の抑止などを実現するには、適切な勤怠管理を行うことが必須です。

企業に「客観的な労働時間の把握」が義務付けられている

従業員の過剰な残業や過労死といった労働問題を改善するため、近年では「働き方改革」が推進されています。その一環として、2019年4月から「労働時間の客観的な把握」が企業に義務付けられました。

従来は、タイムカードや出勤簿といった自己申告による勤怠管理が主流でしたが、紙ベースでの管理は労働時間の改ざんが容易で、正確な勤怠管理が難しいという課題がありました。

しかし「労働時間の客観的な把握が義務化」されたことで、企業は改ざんのリスクを防ぐため、正確に労働時間を管理できる体制を整備しなければなりません。適切に管理できていない場合は、法令違反として是正勧告の対象になる可能性があります。

法律を守り企業の信頼を向上させるためにも、適切な勤怠管理を行うことが重要です。

参照:出雲労働基準監督署 | 労働者を雇用する事業主・人事労務担当者の皆さまへ

働き方に関わらず従業員の勤務状況を正確に把握できる

近年では働き方改革の影響もあり、在宅勤務変形労働制週休3日制など、多様な働き方が導入されています。多様な働き方の推進によって、オフィス以外で働くことが当たり前になりつつある中で、企業によっては「別の場所で勤務する従業員の勤怠まで正確に把握できているか?」と悩むケースがあるかもしれません。

しかし、勤怠管理システムを活用することで、従業員の働き方に関わらず労働時間を正確に把握できます。これにより適切な勤怠管理を実現できれば、「オフィスにいない従業員の過重労働を見逃していた」といったリスクを防ぐことも可能です。

長時間労働を防ぎ従業員の健康や命を守れる

適切な勤怠管理を行うことで、従業員の勤務状況を「正確に・客観的に・抜け漏れなく」把握できます。これにより、企業は必要に応じて以下のような対策を講じ、長時間労働を防止できます。

  • 残業時間が明らかに多い従業員の業務を、チーム内で再分配する
  • 配置転換を行い、従業員の負担を軽減する
  • 業務効率化に必要なツールを導入し、残業の原因を解消する

こうした対策を行い長時間労働を防げれば、最終的に従業員の健康や命を守ることにもつながります。

不正な勤怠打刻を防いで正しく人件費を計算できる

タイムカードや出勤簿などアナログな方法で勤怠管理を行っている場合、以下のような不正打刻が発生するリスクがあります。

  • 遅刻しそうな時に、同僚に代理でタイムカードを押してもらう
  • タイムカードを押さずに定時退社し、残業中の同僚が退社するタイミングで代わりに押してもらう
  • 手書きのタイムカードの記録時間を改ざんする
  • 退勤打刻をせずに一度退社し、再び戻ってきてから退勤打刻を行う

これらの不正打刻を長期間放置すると、企業は「架空の残業代」を従業員に支払い続けることになり、最終的には数十万円単位の損失が発生しかねません。

しかし、労働時間を客観的に把握できる方法で勤怠を管理できれば、不正打刻の発生を防ぎ、実際の労働時間に基づいた正確な人件費を計算することができます。

不正打刻への対処法や防止のために企業が意識すべきポイントなどは、「不正打刻は違法!事例や発生時の対処法、防止のために勤怠管理で意識すべきポイント」で詳しく解説しています。

快適な職場環境を作ることで最終的な業績をアップできる

適切な勤怠管理を行うことで、以下のメリットが得られます。

  • 従業員の労働時間を正確に把握し、必要な対策を講じる
  • 不正打刻を防ぎ、無駄な支出を削減する

適切な勤怠管理が実施される職場では、労働時間が適正に守られ、不正も行われないため、従業員にとって働きやすく、魅力的な環境となります。職場環境が整うことで、従業員のモチベーションも高まり、日々のパフォーマンスが向上します。

一方で、長時間労働が続くと心身への負担が大きくなり、業務の効率や成果が低下するリスクが生じます。その結果、企業全体の業績が低下する原因になりかねません。

従業員が快適に働ける環境を整えるためには、まずは勤怠を正確に管理し、健康を守りながら業務効率を高めることが重要です。これにより、従業員が本来の力を発揮しやすくなり、企業の業績向上にもつながるでしょう。

不適切な勤怠管理は、企業経営に大きな影響を与える

「適切な勤怠管理の義務化」という法的な面や「長時間労働の防止」という従業員の健康面など、幅広い観点から見ても、適切な勤怠管理を行う重要性は高いといえます。

もし適切な勤怠管理を行わなければ、企業経営に以下のような深刻な影響を与える可能性があります。

  • 従業員が過労死ラインを超える労働を強いられ、最悪の場合、命が失われる
  • 残業時間の上限規制を超え、法律違反となる
  • 不正打刻を見逃し、不要な残業代を支払う事態に陥る
  • 管理者が部下の勤怠を改ざんしているケースを見逃し、労働基準監督署へ告発される
  • 世間から「従業員の働きやすさに無関心な企業」という印象が付く

不適切な勤怠管理は、企業に良い影響を与えることはありません。放置し続ければ職場環境は悪化し、離職率の上昇など、さらなる問題を引き起こす原因となります。

こうした最悪の事態を防ぐためにも、企業は適切な勤怠管理を行い、従業員の健康と法令遵守を徹底する必要があります。

適切な勤怠管理を実現するために知っておくべきこと

快適な職場環境を構築し、従業員の健康を守りながら最終的に企業の業績アップを目指すためには、適切な勤怠管理が欠かせません。正しい勤怠管理を実現するためには、以下のポイントを押さえておく必要があります。

  • 「客観的に労働時間を確認できること」が大前提
  • 「労働時間」の捉え方
  • 勤怠管理が必要な企業
  • 勤怠管理の対象となる従業員
  • 管理すべき項目

上記の5項目は「厚生労働省のガイドライン」に基づいてまとめています。各項目の詳細を知りたい場合は、合わせてチェックしてください。

「客観的に労働時間を確認できること」が大前提

労働時間は「客観的に把握できる状態である」ことが大前提です。適切な勤怠管理を行うためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 企業が「正確な勤怠管理が行われている」と確認できること
  • タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録など、客観的なデータをもとに労働時間を記録している

労働時間を客観的に把握できるのであれば、タイムカードや出勤簿などで管理しても問題ありません。しかし、アナログな方法では、例えば「打刻を毎回管理者が目視で確認する」など確認作業が発生します。このような方法は現実的ではないため、可能であればICカードやパソコンの操作記録、あるいは勤怠管理システムなどを活用し、自動的かつ正確に把握してください。

「労働時間」の捉え方

ガイドラインにおける「労働時間」の定義は以下の通りです。

  • 企業の指揮命令下に置かれている
  • 企業の明示(あるいは黙示)の指示により、従業員が業務を行っている

上記を踏まえると、次のようなケースも「労働時間」に該当します。

  • 参加が義務付けられている研修を受講する時間
  • 企業の指示で業務に必要な資格の勉強をする時間
  • 電話番として待機している時間

つまり、オフィス内にいて仕事をしている間だけが労働時間としてみなされるわけではありません。企業からの指示や拘束がある場合、その時間も労働時間として管理する必要があるのです。

特に注意が必要な休憩時間の扱い方については、「企業が知らないとマズい「休憩時間の定義」とは?原則や違反時の罰則、トラブル回避のために押さえたい注意点」で詳しく解説しています。

勤怠管理が必要な企業

労働基準法における労働時間に係る規定(労働基準法第章)が適用される企業では、適切な勤怠管理が求められます。つまり、ほぼすべての企業で勤怠管理が必要です。

ただし、農業など天候に大きく左右される業種については、勤怠管理の義務から除外されています。

参照:農業者・農業法人労務管理のポイントp.5

勤怠管理の対象となる従業員

勤怠管理の対象となるのは、以下に該当する従業員です。

「”労働基準法第41条に定められている従業員” および ”みなし労働時間制が適用される従業員”」を除くすべての従業員

労働基準法第41条に定められている従業員としては、例えば部長や工場長など、経営者と近しい立場にある「管理監督者」が該当します。役職名が付いていなくても、業務の実態によって「管理監督者であるか?」を判断することが一般的です。

みなし労働時間制が適用される従業員とは、以下に該当する者を指します。

管理すべき項目

勤怠管理では、以下の項目を把握しておくことが必要です。

  • 労働時間
  • 始業時間
  • 終業時間
  • 休憩時間
  • 残業時間
  • 休日労働時間
  • 深夜労働時間
  • 出勤および欠勤日数
  • 有給休暇の取得日数

勤怠管理システムであれば適切に労働時間を把握できる

上記で解説したように、企業にとって「客観的な勤怠管理の実施」は重要性が高い項目です。従業員の労働時間を正しく把握することで、長時間労働や不正打刻を防ぎ、快適な職場環境を構築できます。

適切な勤怠管理を実現する方法はいくつかありますが、なかでも「勤怠管理システム」を活用した把握がおすすめです。

勤怠管理システムとは、ツール上で従業員の労働時間や出退勤時間、休憩時間などを一括管理できるシステムです。ICカードやブラウザ、スマートフォンなどで場所を問わず打刻できるため、タイムカードや出勤簿のように「記録のためだけに一度オフィスへ戻る」といった手間が必要ありません。在宅勤務などを導入している企業でも使いやすい点が魅力です。

紙やエクセルで管理していると、最終的な労働時間の集計や給与計算に多くの手間がかかります。しかし勤怠管理システムなら、従業員の勤怠情報を自動集計できるため給与計算もスムーズです。

勤怠管理システムにもさまざまな種類がありますが、「なるべくコストを抑えて使いたい」ならば、株式会社フリーウェイジャパンが提供する「フリーウェイタイムレコーダー」をご検討ください。

フリーウェイタイムレコーダーは、従業員10人までなら永久に無料で利用できる勤怠管理システムです。ICカード打刻や勤怠情報の集計、管理者権限の付与など、勤怠管理で最低限必要な機能は搭載しているため、ほとんどの企業で十分に活用できます。従業員が11人以上でも「月額1,980円」というリーズナブルな価格で使うことが可能です。

具体的な勤怠管理システムの機能や選び方などは、「勤怠管理システムとは?機能や導入メリット、初めての方でも迷わない選び方のポイントなどを詳しく解説」で詳しく解説しています。

まとめ | 勤怠管理の重要性を把握して健全な企業経営を目指そう

勤怠管理は、企業が「従業員の労働時間を把握して健康を守る」「不正打刻を防ぐ」などを実現するうえで、重要な役割を担っています。働き方が多様化し、従業員がオフィスにいないことも当たり前になっている近年では、より正確に勤怠を把握する意識が必須です。

適切な勤怠管理を実現するには、文中でも紹介した厚生労働省のガイドラインを参照しつつ、勤怠管理システムなどを活用しながら効率的かつ正確に労働時間を把握してください。

よくある質問

Q1.勤怠管理が必要な理由は?

勤怠管理が必要な理由は以下の通りです。

  • 企業に「客観的な労働時間の把握」が義務付けられている
  • 働き方に関わらず従業員の勤務状況を正確に把握できる
  • 長時間労働を防ぎ従業員の健康や命を守れる
  • 不正な勤怠打刻を防いで正しく人件費を計算できる
  • 快適な職場環境を作ることで最終的な業績をアップできる
Q2.勤怠管理の具体的な管理項目は?

以下の項目の管理が必要です。

  • 労働時間
  • 始業時間
  • 終業時間
  • 休憩時間
  • 残業時間
  • 休日労働時間
  • 深夜労働時間
  • 出勤および欠勤日数
  • 有給休暇の取得日数
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