過重労働に労務がとるべき7つの対策

更新日:2023年02月02日
過重労働 労務対策

過重労働は、放置すると健康被害や過労死、また残業代の未払いなど、重大問題につながります。一方で、働き方が多様化している現在において、勤怠管理を正確に行うことは難しいものです。 本記事では、過重労働を防ぐために労務が行うべき対策を7つまとめました。過重労働の現状とあわせて自社の現状を振り返り、取り入れやすいものからぜひ実践してみてください。

過重労働とは

過重労働とは、長時間労働が原因で心身ともに疲労がたまっている状態を指します。
過重労働の基準は過労死の脳卒中や心臓病のリスクがあると言われている、時間外・休日労働が月100時間を超える場合、または、2~6ヶ月平均で月80時間を超える場合です。
このような状況になると、脳卒中や心臓疾患の発症との関連が強まると言われています。
労働基準法によって、法定労働時間(1日8時間・1週間40時間)が定められています。 法定労働時間を超えるには労働基準法第36条に基づく労使協定である36協定(サブロク協定)が必要です。36協定を結ぶことで時間外労働が可能になりますが、36協定を結んでも時間外労働は「月45時間・年間360時間」という限度があります。つまり、過重労働は、法定労働時間・36協定を超えて心身に影響を及ぼすほどに労働してしまっている状態であると言えます。

▼参考記事
長時間労働抑制・過重労働対策の推進について|厚生労働省

過重労働の現状

日本の労働状況を改めて整理してみましょう。OECDの2021年の統計によると、日本の年間労働時間は世界で27番目に多いです。

国別年間労働時間

▼参考記事
OECDの主要統計 労働時間

日本は、”過労死”という言葉が生まれてしまうほど、労働時間に問題があります。ニュースでもたびたび過労死・過重労働が話題になり、その度に対策がなされているため、少しずつ改善に向かっていますが、現状は、解決しているとは言えません。

年間総実労働時間は減少

実は、令和2年の年間総実労働時間は、前年比で48時間減少しています。そのため、年間総実労働時間だけを見ると、多くの人の労働時間は減ったように感じます。
しかし、所定外労働時間は近年増減を繰り返しています。また、職種によっても労働時間の差は大きいため、一概に労働時間が短縮しているとは言えません。

年間総労働時間の推移

▼参考記事
労働時間やメンタルヘルス対策等の状況|厚生労働省

年次有給休暇の取得率は企業の規模や職業によって差がある

年次有給休暇の計画的付与制度がある企業の割合をみると、全体的には回復気味です。そして、企業規模が大きいほど、有給休暇の取得率割合が高いことがわかります。令和2年の1年間に企業が付与した年次有給休暇をみると、労働者の年次有給休暇取得率は56.6%であり、昭和59年以降過去最高となっています。ただし、実際には、職業によって、有給休暇の取得しやすさに差があるようです。実際、取得率を産業別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が73.3%と最も高いのに対し、最も低い「宿泊業、飲食サービス業」では45.0%となっています。

▼労働者1人平均年次有給休暇の取得状況

労働者1人平均年次有給休暇の取得状況

▼参考記事
「令和3年就労条件総合調査の概況」|厚生労働省

勤務間インターバルの導入は増加傾向

勤務間インターバルとは、退勤から翌日の出勤までの間に、一定の休息時間を確保する制度です。厚生労働省では、9〜11時間以上のインターバルの設置を推奨しており、導入する企業は補助金を受け取ることが可能です。 勤務間インターバルの導入は、全体的には増加傾向ではありますが、約8割が導入予定がないと回答しています。また、この制度を知らない企業も多いのが現状です。

労務が行うべき7つの対策

過重労働などの労務問題に対応することは、企業にとっても重要な課題の一つです。 ここからは、労務が行うべき対策7選を紹介します。自社に取り入れやすいものからぜひ実践してみてください。

1.正確な勤怠管理を行うシステムの導入

勤怠管理とは、出勤・退勤時間、欠席や遅刻の記録、有給休暇の取得状況などといった労働に関する記録をすることです。 勤怠管理は、過重労働を防ぎ、従業員の労働状況を管理するために重要であるため、企業の義務として労働基準法に定められています。さらに、働き方改革関連法案の改正によって、より正確な記録が求められています。過重労働を防ぐには、勤怠管理を正確・適切に行われている必要があります。虚偽の報告や申請は過重労働の温床となってしまうためです。この際、勤怠管理システムを導入することで、手間なく正確に従業員の労働時間を管理できます。企業の中には、現在はタイムカードでの勤怠管理を行っている企業も多いかもしれません。ですが、ただし、タイムカードでの勤怠管理には問題点があり、必ずしも正確な勤怠管理ができるとは言えません。

▼タイムカードの問題点

  • 代理打刻
  • 外勤やリモートの人の打刻が難しい
  • リアルタイムで終業時間を管理できない
  • 手動で集計を行う必要がある

PCやスマホを使った勤怠管理では、打刻をする際にパスワード入力を必要とすることで、タイムカードの問題点である不正打刻を防げます。 勤怠管理システムは常にデータを確認でき、手動で集計する必要もないため、業務の削減が可能です。さらに、リアルタイムで出勤時間などの管理ができるので、労務が管理している情報を各部署の上司に共有することで、各個人に割り当てる仕事量や、必要な人員数などを柔軟に対応できるようになります。また、社内にいなくても自身のPCやスマホから打刻可能なので、リモートワークにも対応しています。フリーウェイジャパンのクラウド型勤怠管理システム「フリーウェイタイムレコーダー」なら、従業員やスタッフ10人まで永久無料(※11人以上は人数が無制限で月額1,980円)で利用可能です。

打刻画面イメージ


打刻画面イメージ。打刻に成功すると時刻が表示され、音声も流れます。

打刻実績表示画面


1ヶ月間の打刻実績を表示できる画面。部署ごとに表示もできます。


勤怠の正確な管理を手間なく行うことで、業務の効率化・人件費削減にも繋がります。勤怠の正確な管理・確認など、「フリーウェイタイムレコーダー」の導入で、企業と従業員に安心して働く環境を作りましょう。

2.残業の許可制・可視化

残業時間を削減するには、許可制にして、残業を許可なしにできない環境にすることが効果的です。また、残業時間の上限を設定することも良いでしょう。勤怠管理システムの中には、残業時間が一定時間過ぎると、警告が出る機能が付いているものもあります。本人や部署に自覚を促したい企業は、警告機能付きの勤怠管理システムを検討することもおすすめです。

3.残業時間削減の達成目標を決める

残業による手当を目的にあえて残業を進んで行う従業員もいます。これは企業にとって、作業が非効率的になる・企業としての評判リスクなどのデメリットがあります。社内で残業時間の達成目標を決め、達成した従業員を評価するという仕組みを作れば、残業時間を減らそうと努力する従業員が増えるでしょう。ノー残業デーを導入したり、定時以降はPCなどの機器を使えないよう設定するなど、制度から変えることも効果的でしょう。

4.アニバーサリー休暇の導入

アニバーサリー休暇とは、従業員やその家族の記念日およびその前後の日に取得できる休暇のことです。アニバーサリー休暇のように、従業員がプライベートを大事にできる仕組みを導入することも、過重労働を防ぐことに繋がります。希望した日は残業を絶対にしないことや休暇がとれることが保証されていれば、従業員の仕事に対するモチベーションが上がり、仕事効率の上昇も望めるでしょう。

5.柔軟な労働時間制度の導入

従業員のライフスタイルや、希望する就業形態を尊重することで、互いにストレスの少ない勤務ができます。個人に合った働き方の方が、仕事効率も上がり、会社にとってもメリットになるでしょう。例えば、フレックスタイム制を導入して、育児や介護中でも多様な働き方を実現できる会社は、他の会社や就活生にとっても魅力的で、”労務問題に対応している”という評価を得ることができるでしょう。

6.従業員が相談できる環境づくり

過重労働を未然に防ぐには、会社全体で従業員の健康状態や、職場環境の様子などを把握することが大事です。そのため、従業員がすすんで相談できる環境づくりを行うと良いでしょう。本来、勤務時間や有給の取得日数などといったデータだけを見るのではなく、それぞれの従業員の状況を把握できれば理想的です。ただし、現実的には会社規模が大きくなればなるほど従業員一人ひとりの状況把握は難しくなります。そのため、各部署ごとに定期面談を行ったり、コミュニケーションを取りやすい雰囲気をつくるためにイベントを開催したり、メンターを設定したりなど、従業員の意見が自然と吸い上げられる仕組みを構築するのも良いでしょう。

7.就業規則の見直し

2019年に施行された「働き方改革関連法」や、改正された労働基準法の内容は、企業の労務担当に限らず、全ての労働者がしっかりと把握しておく必要があります。 また、働き方改革関連法や労働基準法に即して作られる就業規則も、改正があればその都度見直す必要があります。労務担当は、就業規則の従業員への周知を行い、会社全体で規則が遵守されているか管理することが大切です。

過重労働に関する法律

ここまで見たように、日本の過重労働の問題は少しずつ改善に向かっている状況ですが、まだまだ改善すべき点は多くあります。 そのため、近年労働に関する法改正も多く行われています。

働き方改革実行計画

「働き方改革実行計画」は、日本社会の働き方を改革し、日本経済を再生することを目標として平成29年に決定されました。この計画では、時間外労働の上限が罰則付きになり、特別な事情があっても上回ることができない条件付きになりました。それ以前では、特別条項付き36協定を結べば、時間外労働の上限がありませんでしたが、「働き改革実行計画」によって、時間外労働時間の上限が720時間と決められました。

「過労死等ゼロ」緊急対策

平成28年に「過労死等ゼロ」緊急対策が取り決められ、労働時間に関する新ガイドラインが作成されました。それまでは、月100時間超の長時間労働が3事業場に認められた場合が企業名発表の対象でしたが、新ガイドラインでは対象が月80時間超に拡大されました。

労働安全衛生法の改正

精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最高を更新したことを機に、「労働安全衛生法」によって、労働者が50人以上いる事業所では、全ての労働者を対象に毎年1回のストレスチェック実施が義務化されました。医師や保健師等の検査や、産業医との相談・労働条件の改善などが求められるようになっています。

まとめ

過重労働は会社全体に関わる大きな問題です。企業の現状を正確に把握し、必要な対策が求められます。すでに過重労働の状況が発生している場合は、本記事で紹介した7つの対策の中から、自社で採用しやすい手法を取り入れて課題の解決に取り組んでみてください。

この記事は、株式会社フリーウェイジャパンが制作しています。当社は、従業員10人まで永久無料の勤怠管理システム「フリーウェイタイムレコーダー」を提供しています。フリーウェイタイムレコーダーはクラウド型の勤怠管理システムです。ご興味があれば、ぜひ使ってみてください。

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