在宅勤務にはさまざまなメリットがありますが、社員が目の前にいない分在宅勤務管理は簡単ではありません。しかし、在宅勤務の課題やポイントを押さえれば、在宅勤務管理もやりやすくなります。また、在宅勤務に便利なツールを活用することもおすすめです。この記事では、在宅勤務管理について、「課題」、「ポイント」、「ツール」の3つの視点から解説します。
在宅勤務とは、オフィスではなく、自宅で業務を遂行すること。通勤時間削減や人材確保などの面で、メリットがあるとされる。
近年、在宅勤務の普及が進んでいます。在宅勤務には多くのメリットがありますが、課題も少なくありません。そこで、在宅勤務管理における課題を、3つ解説します。
▼引用記事:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン|厚生労働省
在宅勤務管理で大きな課題となることの1つが、勤怠管理です。在宅勤務では出社しない分、労働時間の実態を把握しづらいものです。よって、以下の問題が生じることが少なくありません。
しかし、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン」によると、労働管理では勤怠管理は必須項目になっています。同ガイドラインでは、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、労働時間を適正に記録すること」を求めています。ただ、在宅勤務では「タイムカード、ICカード」が使えないため、自己申告による勤怠管理になりがちでした。メールや電話、勤怠管理システムを活用して勤怠管理することで、実態に合った勤怠管理を心がけましょう。併せて、在宅勤務においても、残業代が必要になることにも留意しなければなりません。
▼関連記事:残業代の正しい計算方法とは?~基礎賃金、深夜労働、深夜残業、休日労働~
▼引用記事:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
在宅勤務では出社しない分、ちょっとした雑談が難しいのでコミュニケーション不足になりがちです。社内コミュニケーションが不足すると、業務の指示や進捗管理など情報の伝達や、組織の一体感醸成に悪影響が出る恐れがあります。また、社員に孤独感を感じさせる危険性もあるため、社内コミュニケーション不足も、解消しなければならない課題の1つです。しかし、在宅勤務では出社しないため、膝をつきあわせて話すことがないことも事実です。そこで、チャットやWeb会議システムなどのツールを用いて、社内コミュニケーションを促進する工夫をどんどん取り入れていくことが必要になります。
在宅勤務管理では、人事評価の難しさも課題になります。なぜなら、在宅勤務では会社に出社しない分、今までは多くの会社で人事評価項目とされてきた、会社への出欠や勤務態度、労働時間がわかりづらいからです。よって、会社への出欠や勤務態度、労働時間などの項目は、人事評価項目として扱いづらくなります。会社への出社がなくても、営業職など成果がわかりやすい職種であれば、数字で判断できる部分が多いため、まだ人事評価がやりやすいでしょう。しかし、バックオフィスなど成果がわかりづらい仕事では、今までは労働時間や勤務態度で評価されることが多くありました。だからこそ、一層人事評価への工夫が必要です。そこで、業務内容や仕事のクオリティなど、労働時間に頼らない方法で評価できるように工夫しましょう。
在宅勤務管理のポイントを、3つ解説します。
在宅勤務の労働環境に関する制度設計を実施することは、在宅勤務管理の第一歩です。例えば、在宅勤務では通信費や光熱費など、今まで会社が負担していた費用の一部を社員に負担してもらうこともあるため、在宅勤務にかかる費用負担について制度設計しましょう。また、在宅勤務時の労働状況に関する制度設計も必要です。例えば、始業・終業時にメールを送ってもらうなど、在宅勤務時の労働状況がわかるようルールを設定する必要があります。また、Web会議システムの導入など、社員同士のコミュニケーションを促進する制度を設計し、コミュニケーション不足解消を計りましょう。さらに、労働時間については、36協定や割増賃金などの労使協定を結んでおくことも必要です。
36協定 時間外労働が発生する場合、締結が必須
割増賃金 時間外労働・深夜労働・休日労働にあたって必要
併せて、正確な出退勤時間や休憩時間を記録・把握することで、働きすぎやサボりがないか確認しましょう。
▼関連記事:労使協定とは~単位と当事者、免罰的効力について~
▼引用記事:在宅勤務での 適正な労働時間管理の手引|厚生労働省
在宅勤務においても労働環境に関する法律を遵守する必要があります。なぜなら、在宅勤務も労働形態の一種だからです。例えば、在宅勤務においても労働災害は成立するケースがあります。実際、在宅勤務をしている社員がトイレに行くために離席し、席に戻って来たときに転倒したことで、労働災害が認められた事例もあります(厚生労働省の労務管理QA集より)。また、36協定や割増賃金など労働基準法にかかる手続きや、正確な出退勤時間や休憩時間を記録・把握することも必要です。
▼関連記事:労働基準法とは~労働者がいても適用されない場合がある?~
▼引用記事:労務管理QA集|厚生労働省
在宅勤務管理では、目標設定や評価基準を明確にして、社員と共有することも必要です。また、評価に関する制度設計をするときには、在宅勤務をすることが理由で評価が不利にならないよう注意しなければなりません。併せて、出社と在宅勤務で評価制度を変える場合は事前に十分社員に説明することと、評価者が適切に評価を下せるよう教育することを心がけましょう。
在宅勤務管理に便利なツールを、3つ解説します。
勤怠管理システムは、在宅勤務における課題の1つである、勤怠管理に役立つツールです。勤怠管理システムは、勤務時間を記録・集計するだけでなく、残業や休暇の申請なども可能にしてくれます。また、以下の機能をもつ勤怠管理システムを活用すれば、より勤怠管理を効率化できるでしょう。
勤怠管理システムを選ぶときには、自社社員の労働状況を反映できるものを選ぶとよいでしょう。特に、在宅勤務であれば、インターネットにつないで利用できるクラウド型勤怠管理システムがおすすめです。
▼関連記事:給与計算ソフトの導入メリットとは
チャットツールは、ビジネスシーンでも使われることが増えてきました。チャットツールはメールよりも気軽に使えるため、社内コミュニケーション不足解消に役立つでしょう。特に、絵文字やスタンプをうまく活用すれば、より手軽に社内コミュニケーションに使えるはずです。また、チャットツールのアクティビティログを活用することで、勤務時間の実態把握にも活用できるでしょう。
Web会議システムも、在宅勤務の社内コミュニケーションに役立つツールです。Web会議システムを活用すれば、遠隔地の状況を視覚的に共有できます。また、部署やチームごとにチャンネルを設置すれば、より気軽に話しかけられるため、雑談に活用して、コミュニケーション不足解消にも使えます。さらに、Web会議システムにチャット機能がついていることも多いので、チャットツールとしても活用すれば、より社内コミュニケーションを活性化できるでしょう。
在宅勤務管理には多くのメリットがありますが、勤怠管理やコミュニケーション不足など、課題も少なくありません。しかし、正しく制度設計を実施し、法律も遵守することで、在宅勤務管理であっても確実に労働環境を管理できるでしょう。労働環境を管理することは、在宅勤務に伴うトラブルを防ぐことになるため、社員だけでなく会社も守ることになります。また、勤怠管理システムやチャットツールなど、在宅勤務管理に便利なツールをうまく活用すれば、より在宅勤務管理が容易になるでしょう。
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