企業が知っておくべきパート・アルバイトの労働条件|ルールと注意点

更新日:2023年03月03日
アルバイト 労働条件

多くの学生や主婦などが、学業や家事などの合間にパートやアルバイトとして労働しています。雇用者と労働者の間で結ばれる労働条件は、労働基準法などに準ずる必要があります。

この記事では、パートやアルバイトを雇う際の労働条件のルールと注意点を紹介します。パートやアルバイトを雇用する際、労働条件のルールを知っておくことで、労働者との間でトラブルが起こることを未然に防ぎましょう。

パート・アルバイトを雇用するには「労働条件」の明示・交付が必要

アルバイト労働条件イメージ

労働条件とは、雇用者と労働者が働くうえで取り決める労働契約期間、勤務場所、始業・終業時刻、賃金などのことです。労働基準法によって、使用者が労働者に明示することが義務付けられています。

さらに、労働基準法やパートタイム・有期雇用労働法により、会社と労働者が労働契約を結ぶ際は、以下の労働条件を示した「労働条件通知書」を作成し、労働者に明示することが義務付けられています。労働条件通知書のひな型主要様式ダウンロードコーナー(厚生労働省)よりダウンロードできます。

書面での明示が義務付けられている労働条件

  • 契約期間
  • 就業場所
  • 従事する業務内容
  • 始業・終業時刻、休憩時間
  • 所定労働時間を超える労働の有無、就業時転換(交代勤務の場合)
  • 休日・休暇
  • 賃金の決定、計算、支払方法、支払時期
  • 退職時の取り決め
  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • 相談窓口

明示が義務付けられている労働条件(書面でも口頭でもよい)

  • 昇給

企業に制度がある場合、明示が義務付けられている労働条件

  • 退職手当の適用範囲、決定・計算・支払い方法、支払時期
  • 臨時賃金、賞与
  • 労働者が負担する食費、作業用品など
  • 安全・衛生に関する事項
  • 職業訓練
  • 災害補償、業務外の傷病扶助
  • 表彰、制裁

労働条件通知書で明示されたこれらの条件が実際の労働条件と異なる場合、労働者は即時に労働契約を解除できると定められており、企業と労働者はともに遵守しなくてはなりません。

また、口頭でもよいとされている労働条件ですが、のちのちのトラブルを避けるためにも、すべて通知書に残しておくことがおすすめです。なお、交付は書面が原則ですが、労働者が希望した場合は、FAXやEメール、LINE等SNSなどでの電子交付も2019年より認められています。

一方、新しくパートやアルバイトを雇うにあたり、雇用契約書を用意する企業もあるかもしれません。ただし、雇用契約書は、民法で定められた雇用に関する契約のためのもので、義務ではなく任意です。雇用者と労働者双方の合意の証明として、労働条件通知書とともに取り交わされることが多いです。

パート・アルバイト雇用のルール

では始めに、パートやアルバイトの雇用における原則をおさえておきましょう。

労働時間は週40時間までが原則

正社員かパート・アルバイトかにかかわらず、労働時間は、労働基準法で1日に8時間、週に40時間までと決められています。また、少なくとも1週間に1日、または4週間を通して4日以上の休日を与えなければなりません。この上限を超えて労働をさせる、または休日に労働させる場合は労使協定(36協定)をあらかじめ結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。

労災保険に加入する

企業には、労働者の雇い入れから10日以内に労災保険の加入手続きを行う義務があります。仕事中や通勤中に起きたケガや病気に対し、正社員だけではなくパート・アルバイトも労災保険を使うことができます。1日のみの短期アルバイトであっても補償の対象です。保険加入を怠った状態で労働者が傷病を負った場合、保険料や給付金を行政官庁から追加徴収されることがあります。

正社員との差別は禁止

労働基準法にもとづき、パート・アルバイトに対して正社員と差別したり、不当な解雇などを行ったりすることは禁じられています。正社員とパート・アルバイトでは、雇用形態や給料、保障、雇用期間の違いはありますが、雇用者との法律上の関係は同じ労働者として変わることはありません。したがって、労働関係の法律である労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、雇用保険法は、基本的にパート・アルバイトにも適用されます。

パート・アルバイト雇用における5つの注意点

パート・アルバイトを雇用する際に、注意すべきポイントが5つあります。正社員とは異なる規則がありますので、注意してください。

1.18歳未満の深夜労働は禁止

労働基準法により、アルバイトは15歳になって最初の3月31日を過ぎてから認められているため、業種によっては18歳未満を雇うこともよく見られます。この際、18歳未満には深夜労働をさせないように注意が必要です。

22時から翌日5時までは深夜労働にあたり、18歳未満の労働が禁止されています。たとえ時間外労働や休日出勤と言った形であっても、18歳未満の深夜労働は禁止です。

2.手当も含めて給与を計算する

パート・アルバイトにも法律上定められている手当があります。手当は給与の計算を複雑にすることが多いため、注意しましょう。特に、深夜手当と残業代は、業種や採用形態により多く発生することがあるため注意が必要です。

  • 深夜手当
  • 残業代(時間外手当)
  • 休日出勤手当
  • 有給休暇手当

深夜手当

労働基準法第37条第4項にて、「使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」と定められています。よって、アルバイトとして18時から24時までの間労働した場合、18時から22時までの給与と22時から24時までの給与とでは計算方法が異なります。

勤務時刻 該当時間の時給
5時~22時 通常の時給
0時~5時、22時~24時 (通常の時給)×(1.25以上)

残業代(時間外手当)

パート・アルバイトのシフトは一般的にフルタイムより短いため、残業を含んだ労働時間が法定労働時間を超えないことも多いです。しかし、もし超えた場合には、法定労働時間(8時間)を超えた分の時給は通常の時給の25%以上の残業手当を加算して支払う必要があります。

1日の労働時間 該当時間の時給
8時間以内 通常の時給
8時間を超えた時間 (通常の時給)×(1.25以上)

なお、労働時間が8時間を超え、かつ22時以降の労働であった場合は、時間外手当25%に加えて深夜手当25%が上乗せされるため、深夜時間帯の労働には50%の手当がつく計算になります。

休日出勤手当

休日出勤手当とは、法定休日に労働した場合に付与される手当です。法定休日は、労働基準法において原則週1日以上、あるいは4週のうち4回以上で必ず設けなければならないとされています。

ただし、多くの企業では週に2日の休日が設定されており、1日は法定休日、もう1日は所定休日と定まっています。しかし、休日出勤手当が加算されるのは法定休日に労働した場合のみであることに注意しましょう。

法定休日と所定休日の違い

法定休日
  • 1週間に1日(または4週に4回)必ず設けなければいけない
  • 労働基準法第35条により規定
所定休日
  • 法定休日以外の休日
  • 付与の義務はないが、1週間の労働時間が40時間を超えないように設ける(労働基準法第32条)

前述したように、週に2日の休日がある場合、2日の休日のうちどちらを法定休日とするかは企業の就業規則により定まっています。たとえ、日曜日・祝日に勤務したとしても、法定休日と定められていなければ、休日出勤手当は支給されません。

1週間のイメージ例

所定休日 法定休日 稼働日(合計労働時間は40時間以内)

年次有給休暇手当

有給(有給休暇)と聞くと、正社員だけに適用される制度というイメージがあるかもしれませんが、パート・アルバイトも一定の条件を満たせば年次有給休暇が付与されます。以下の条件を満たす場合には労働日数に応じた有給を付与する必要があります。

  • 勤務開始から6ヶ月以上経過
  • シフトの8割以上出勤している

バイト勤続期間と付与される有給日数

1週間の
所定労働日数
1年間の
所定労働日数
勤続期間
6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月
5日以上
(フルタイム相当)
10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日
4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~72日 2日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

なお、有給休暇が最初に付与される日は、雇い入れの日から6ヶ月後以降で、勤続していれば1年ごとに毎年の付与が必要です。

このとき、有給取得で支払う手当の計算方法には、以下の3つのケースがあります。

  • 通常の賃金から算出するケース
  • 過去3ヶ月の実績から算出するケース
  • 標準報酬日額から算出するケース

いずれを選択するかは就業規則などに明確に規定しておく必要があります。

労働時間を効率的に把握するなら、勤怠管理システムがおすすめ

労働手当は、労働時間の端数処理に注意が必要です。労働基準法には「1ヶ月の勤務時間の合計に対して、1時間未満の端数がある場合は30分未満を切り捨て、それ以上は1時間に切り上げなければいけない」という規定があります。そのため、パート・アルバイトに対してもタイムカードによる記録、PCなどの使用時間の客観的な勤怠管理が必要です。勤怠管理システムを導入すれば、コストと手間をカットしながら、正確な勤怠管理が行えます。

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3.研修期間であっても、最低賃金は遵守

都道府県ごとに決められている最低賃金を下回ることは認められていません。仮に、研修期間で賃金が通常よりも低くなる場合であっても、時給は最低賃金以上である必要があります。

4.ペナルティーは可能だが、制限がある

労働基準法では、遅刻や欠勤をした労働者に対してペナルティーなどの懲戒処分を与えることは認められていませんが、就業規則に懲戒規定として減給されることがあると明記されていれば、懲戒処分を行うことは可能です。

この際、労働基準法第91条により「制裁規定の制限」によって以下のルールが定められています。

  • 1回の制裁として、平均賃金の1日分の半額を超える減給を行ってはならない
  • 複数回の制裁として、総額が一賃金支払い期の10分の1を超える減給を行ってはならない

この規定に違反した場合は、企業側に30万円以下の罰金が科されます。

5.パート・アルバイトの解雇にも条件がある

正社員と同じく、パート・アルバイトの解雇においても、合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない解雇は無効と定められています。具体的には、以下に当てはまる場合においてのみ解雇できます。

普通解雇 労働者からの申出により労働者との雇用契約を一方的に解除する解雇
整理解雇 業績不振に陥った企業が存続するためにやむをえず行う解雇
懲戒解雇 従業員が法律に反する行為をしたときや、会社の秩序を乱した場合に行う解雇

労働者を解雇する際は30日以上前に予告するか、解雇予告手当を支払わなければなりません。また、業務上の傷病や産前産後による休業期間及びその後30日間は原則として解雇できません。

まとめ|パート・アルバイトの雇用には、労働条件の明示のと勤怠管理が重要

この記事では、パート・アルバイトを雇う上での労働条件について説明しました。パートやアルバイトを雇う際には、今まで確認してきた点に注意し、勤怠管理を適切におこないましょう。

しかし、労働条件を遵守する重要性を分かってはいるけれど、

  • アルバイトを多く雇っていてひとりひとり管理するのが大変
  • 働き方が多様化しているため、タイムカードでは管理しきれない

といった問題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。

そんな方にお勧めなのが勤怠管理ソフトによる勤怠管理です。

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