労基署の臨検とは?種類や当日の流れ、必要な書類、チェック項目などを解説

更新日:2023年04月03日
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臨検とは、労働基準監督署(労基署)が「各企業が労働基準法を守っているか」を実際の書類やデータを参照しながら確かめる検査です。結果が悪い場合には、口頭や書面での改善指導を命じられます。臨検を拒否したり違反の内容が悪質だったりすると、業務停止を命じられることもあるかもしれません。そのため、日頃から従業員が快適に働けるような職場環境を作り、もし突然臨検が来てもスムーズに対応できる体制を整えておくことが大切です。

本記事では、労働基準監督署による立ち入り調査「臨検」の概要や実際の流れ、提出を求められやすい書類、改善指導を受けたときの影響などを詳しく解説します。

臨検とは労基署が「各企業が労働基準法を守っているか?」を検査すること

臨検とは、各企業が労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法などを順守しているか確認するために、労働基準監督署が行う検査のことです。臨検は、以下の労働基準法第101条1項に基づき実施されます。

労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。

引用:e-GOV法令検索

労働基準監督官は、「強制的に企業へ立ち入り調査する権限」が与えられています。そのため、企業は臨検を断ることができません。労働基準監督官の臨検を妨げたり虚偽の報告をしたりした場合は、労働基準法120条により30万円以下の罰金となる可能性があります。

臨検が行われた際、以下のチェックリストに1つでも該当する場合は、何らかの処分が下される可能性があります。自社に当てはまる項目がないかどうか、まずは確認してみてください。

チェックリスト

  • 1時間未満(または30分未満など)の労働時間の端数を切り捨てている
  • 振り替えて休日に出勤させているにもかかわらず、振替休日に対する割増賃金を支払っていない
  • 制度上割増賃金を年俸に含んでおり、金額に相当する時間数を超えて働いているにもかかわらず、差額を支払っていない
  • 労使協定を結ぶことなく、労働基準法では原則違反とされている労働条件で働かせている
  • 割増賃金の算出にあたり、除外すべきでない各種手当を算定基礎から除外している

突然の臨検にも慌てず対処するためにも、上記のチェックリストに当てはまっていないことをあらかじめ確認してください。

労基署の臨検は「実施タイミング」に応じて4種類に分かれる

臨検は、検査が行われるタイミングに応じて以下の4つに分けられます。

定期監督 トラブルの有無に関わらず定期的に実施する
災害時監督 労働災害が発生した際に実施する
申告監督 従業員から申告された際に実施する
再監督 一度是正勧告を受けた企業に対し実施する

定期監督のようにトラブル発生時以外に行われる種類もあるため、臨検が来たからといって「自社に問題があるのでは?」と焦る必要はありません。

臨検の種類によって「検査内容や拘束時間が明確に異なるわけではない」とされています。しかし、詳細な内容は企業によって異なり、労基署も基準を公開していないため、一概にはいえません。臨検実施時は監察官の指示をよく聞いて従ってください。

定期監督:トラブルの有無に関わらず定期的に実施する

定期監督は、労働基準監督署が管轄の企業に対して定期的に実施する臨検のことです。従業員からの申告や労働災害の発生がない場合でも、対象となる可能性があります。定期監督は毎月実施されており、令和4年度には14万2,611の事業場で行われました。

参照:厚生労働省|労働基準監督年報 p.9

定期監督は、「抜き打ち調査」「電話や文書で予告してからの調査」のいずれかで実施されます。

災害時監督:労働災害が発生した際に実施する

災害時監督は、一定規模以上の労働災害が発生した企業に対して行われる臨検です。労働災害の原因解明や法令違反の有無の確認、安全管理体制の確認、再発防止を目的として行われます。

企業から提出された労働者死傷病報告や労災の請求書などを参照し、事故の発生原因に法令違反がありそうな事業所をピックアップして臨検を実施することが一般的です。

労働災害の例

  • 業務中の事故
  • 過労死
  • 業務での心理的負荷による「気分障害」(うつ病含む)「統合失調症」の発症

申告監督:従業員から申告された際に実施する

申告監督は、従業員から申告を受けた場合に実施される臨検です。従業員の申告を企業の意見や職場の実態と照らし合わせることで、内容の真偽を確認します。

申告監督は、以下いずれかの方法で実施することが一般的です。

  • 企業へ「従業員から申告があった」と明かして呼び出し状を発行する
  • 企業には従業員から申告があったと伝えず定期監督と同じように行う

従業員のプライバシーや個人情報を保護する場合は、従業員から申告があったと明かさず定期監督と同じように行います。

再監督:一度是正勧告を受けた企業に対し実施する

再監督は、一度是正勧告を受けた企業に対し実施する臨検のことです。以下いずれかのケースに該当した企業へ行われます。

  • 違反内容が正しく是正されているかの確認が必要だと考えられるケース
  • 是正報告書を期限までに提出しなかったケース
  • 是正勧告を無視したケース

是正勧告に従わなかったり対策が不十分だったりすると、指導や罰則、送検などが実施される可能性もあります。

当然ですが、そもそも再監督になるような事態を防ぐことが理想です。しかし万が一、企業のミスにより思いがけず再監督となった場合は、速やかに原因を究明し適切な処置を実施してください。

基本的な臨検の流れ

臨検には4種類ありますが、基本的な流れは同じです。

  • 臨検の予告を受け取る(予告なしのケースもあり)
  • 立ち入り調査を受ける
  • 調査実施後に結果報告を受ける
  • (是正項目があった場合)報告書を提出する

臨検は、必ずしも労働災害を起こした企業のみに行われるものではありません。また、「年に1度必ず行われる」といった予測はほぼ不可能です。そのため、突然臨検が行われても慌てないよう、事前にステップを確認してください。

ただし、今回説明する内容はあくまでも「基本の流れ」であり、状況に応じて変化する可能性はあります。

1.臨検の予告を受け取る(予告なしのケースもあり)

臨検の実施方法としては、「電話や文書で通知してから行う」「予告なしで行う」のいずれかが挙げられます。

「予告なしの臨検」は、書類を改ざんしたり社内で口裏を合わせて事実を隠蔽したりすることを防ぐために実施されます。

予告がある場合は、電話やFAXで調査予定日や準備が必要な帳簿・書類などを通達されます。

もし「必要な書類が足りない」「どうしても今日は厳しい」といった場合でも、虚偽の報告をしたり連絡を無視したりしてはいけません。落ち着いて事情を説明し、状況に応じた指示を受けてください。

2.立ち入り調査を受ける

臨検は、労働基準監督官が2名で実施することが一般的です。監督官が身分を明かし訪問の目的を告げたら、速やかに調査を受け入れてください。

臨検では、労働基準法と労働安全衛生法に関する書類の確認がメインです。そのため、書類の内容を把握している総務人事担当者に対応してもらうと、監督官からの質問にスムーズに回答できます。

調査内容については、事業内容や法律違反の可能性の有無など、さまざまな要素を考慮して決めるため一概にはいえません。しかし、一般的には以下のような調査が実施されます。

  • 労働関係の帳簿書類を確認する
  • 企業や現場の責任者などへヒアリングする
  • 書類や勤務実態、労働安全衛生法に関する状況などを確認する
  • 現場へ立ち入り従業員へヒアリングする
  • 調査をもとに口頭による改善指導や指示出しを行う

調査は通常、2~3時間で終了します。

臨検でよく提出される書類については、「臨検の際に必要な書類」の章で詳しく説明しますので、合わせてご参照ください。

3.調査実施後に結果報告を受ける

上記の調査結果をもとに、監察官より労働基準法違反があったかどうか、結果報告が行われます。とくに問題がなければ、そのまま臨検は終了です。

問題がある場合は、立ち入り調査を行った日に口頭で改善指示を出すケースもあります。

一方で「法律違反があった」「早急な改善が必要」など重大な問題があった場合、書面で指導されることが一般的です。書面の指導では、以下のいずれかが交付されます。

  • 指導票:現時点で法律違反は確認されないが、改善したほうがよい部分がある場合に交付する(法的強制力なし)
  • 是正勧告書:法律違反が確認された場合に交付する(法的強制力なし)
  • 使用停止等命令書:改善しなければ従業員に危険が及ぶと判断された場合に交付する(法的強制力あり)

上記の通り、指導票や是正勧告書を交付されても、実施について法的な強制力はありません。しかし、労働基準監督署は逮捕・送検の権限を持つ司法警察官としても機能するため、放置すると書類送検などの法的措置を取られる可能性があります。

また、そもそも法律違反の現状を放置すれば、従業員から訴えられたり労働災害が起きたりする可能性も0ではありません。そのため、法的強制力がないからといって放置せず、書面が交付されたら速やかに対応してください。

是正勧告書・指導票・使用停止等命令書の違いについては、「労基署による改善指導の段階」の章でも詳しく解説しています。

4.(是正項目があった場合)報告書を提出する

改善を指示した文書が交付された場合は、速やかに対策を行ったうえで、問題が解決したことを伝える報告書を提出します。報告書には以下の項目の記載が必要です。

報告書に記載すべき項目

  • 指摘された違反内容
  • 是正した内容
  • 完了日
  • 企業名
  • 住所
  • 代表者氏名

是正報告書および指導票の報告様式は、労働基準監督署から指定される場合がほとんどです。「是正・改善報告書様式(厚生労働省 鳥取労働局)」を確認しておくと、いざというタイミングでスムーズに対応できます。

臨検でチェックされやすい2つの項目

臨検では、主に以下の2項目をチェックされる傾向にあります。突然の臨検にも対応できるよう、以下の項目については日頃から気を配っておいてください。

  • 一般労働条件
  • 安全衛生

各項目について、違反とみなされる可能性があるケースも記載しています。

一般労働条件

一般労働条件とは、従業員が働く際の基本的な労働条件のことです。主に以下が該当します。

該当項目 概要 違反の可能性があるケース
事業場・労働者関係
  • 事業の名称や所在地、事業内容
  • 事業主氏名
  • 労働者名簿
  • 派遣労働者や請負企業などの有無
労働者名簿自体を作成していない
労働条件
  • 労働条件通知書
  • 就業規則の作成
  • 就業規則の周知
  • 従業員へ労働条件を明示していない
  • 就業規則を適切に従業員へ周知していない
労働時間
  • タイムカードなどによる労働時間の記録
  • 変形労働時間制の労使協定
  • 時間外・休日労働に関する協定届(36協定)
  • 時間外や休日労働などの現状把握
  • 管理監督者の範囲
  • 従業員と36協定を結ばず時間外労働を行っている
  • 労使協定を労働基準監督署へ申請していない
賃金
  • 賃金台帳
  • 賃金控除協定書
  • 残業代や休日手当などの支払い状況および計算方法
  • 最低賃金
  • 賃金台帳に正確な内容が記載されていない
  • 残業代が適切に支払われていない
  • 最低賃金を下回っている
年次有給休暇
  • 年次有給休暇の取得状況
  • 年次有給休暇の取得記録
  • 年次有給休暇の取得手続
法律で定められた有給付与日数を下回っている

参照:竹内社労士事務所|労働基準監督署対策相談室

安全衛生

安全衛生とは、従業員の健康と安全を守り、安心して働けるような職場環境を作るための取り組みのことです。主に以下が該当します。

該当項目 概要 違反の可能性があるケース
安全衛生管理
  • 安全衛生推進者の選任状況
  • 産業医の選任状況
  • 安全衛生委員会の設置状況
対象企業であるにも関わらず、安全衛生委員会や産業医を設置していない
健康管理
  • 健康診断の実施記録
  • 事後措置の状況
  • 過重労働の有無
  • 健康診断結果報告
  • 健康診断を実施していない
  • 従業員が50名以上にも関わらずストレスチェックを実施していない

参照:竹内社労士事務所|労働基準監督署対策相談室

臨検の際に必要な書類

臨検では、以下の書類の提示を求められる可能性があります。とくに提出を求められやすい8つの書類は太字で記載しています。

用途 具体的な書類の一例
「労働基準法の遵守」を確認する
  • 就業規則
  • 労働者名簿
  • 労働条件通知書
  • 時間外労働・休日労働に関する協定届
  • 変形労働時間制に関する協定届
  • 勤務割表などの関係書類(変形労働時間制を採用している場合)
  • 変形労働時間制のシフト勤務表(変形労働時間制を採用している場合)
  • 企業の組織図
  • 法定三帳簿である労働者名簿、賃金台帳、出勤簿
  • 年次有給休暇の取得状況に関する書類
「労働安全衛生法の遵守」を確認する
  • 安全委員会、衛生委員会などの議事録
  • 安全委員会、衛生委員会などでの調査審議状況が確認できる書類
  • 健康診断の個人票など実施結果
  • 安全管理者、衛生管理者の選任に関する書類
  • 産業医の選任状況と面接指導の制度や実施状況が確認できる書類

上記の書類がきちんと管理されており、労働基準法や労働安全衛生法の規則を満たしていれば、臨検で指導を受けることはほとんどないはずです。

労基署による改善指導の段階

労基署による改善指導の段階としては、大きく以下の4つが挙げられます。

  • 口頭での改善指導:小さな改善点がある場合
  • 指導票の交付:法令違反ではないが改善が必要な場合
  • 是正勧告書の交付:法律違反に該当する場合
  • 使用停止等命令書の交付:従業員に緊急を要する危険が迫っている場合

厚生労働省労働基準局の「令和4年労働基準監督年報p.12」によれば、定期監督を実施した事業所の70.6%が法違反をしており、なんらかの是正・改善が求められていることが明らかになりました。業種や従業員数に関わらず、どの企業であっても改善指導を受ける可能性があり、指導を受けた場合には対応が必要です。

1.口頭での改善指導:小さな改善点がある場合

書類による指導がない場合も、立ち入り調査を行った日に、口頭で改善指示が出されることがあります。口頭の場合は行政指導に該当しません。とはいえ何らかの改善事項はあるため、職場環境を整備し従業員が働きやすい企業を実現できるよう、必要に応じて対策を実行してください。

2.指導票の交付:法令違反ではないが改善が必要な場合

指導票の交付は、法令違反ではないものの改善すべき事項がある場合に行われる行政指導です。

指導票の効力は是正勧告書より弱いですが、「従業員にとって望ましくない労働環境である」と指摘されていることに変わりありません。放置すると将来的に大きな労働災害へ発展する可能性もあるため、従業員が今後も安心して働けるよう指導票で指摘された内容は改善してください。

3.是正勧告書の交付:法律違反に該当する場合

「労働時間が労使協定の規定を超えている」「有給付与日数が労働基準法の規定を下回っている」といった法律違反がある場合は、是正勧告書が提示されます。

是正勧告書に法的強制力はないため、従わなかったとしても罰金などはありません。しかし、行政指導の段階でも労働局より「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として企業名が公表される可能性があります。もし公表されれば、企業のブランドや評判に影響を与え、従業員の仕事へのモチベーション低下を招くかもしれません。

決して「法的強制力がないから対応しなくてOK」と考えるのではなく、自社に改善点がある現実をきちんと受け止め、速やかに対策することが大切です。

4.使用停止等命令書の交付:従業員に緊急を要する危険が迫っている場合

使用停止等命令書とは、法律に違反しているだけでなく「対策しなければ緊急を要するレベルで従業員に悪影響を及ぼしかねない」と判断された場合に交付される書類です。

使用停止命令書を受け取る際は、以下を記載し、捺印したうえで受け取ります。

      • 受領日
      • 受領者職
      • 受領者氏名

使用停止等命令書が交付されると、以下のような指示が出されるため、企業に大きな影響を及ぼします。

      • 業務で使用している機械を使えなくなる
      • 工場の稼働停止を命じられる
      • 緊急で働き方の見直しを求められる
      • 建物を利用できなくなる

使用停止等命令書には、法的強制力があります。従わなかった場合は6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されます。さらに重大・悪質な法律違反と判断されると、書類送検される可能性もあるため、くれぐれも注意してください。

参照:一般社団法人安全衛生マネジメント協会|使用停止命令とは

労基署の臨検に関して意識すべきポイント

労基署の臨検に適切に対応するために、以下のポイントを意識してください。

      • 日頃から従業員が快適に働ける職場環境を構築しておく
      • 悪質な事案の場合は送検される可能性もある
      • 労基署の臨検は拒否できない
      • 報告書には「今後の対応策」などを具体的に記載する
      • 臨検に備えて社内で対応者を決めておく

日頃から従業員が快適に働ける職場環境を構築しておく

大前提として、「臨検で指摘を受けたから慌てて改善する」といった状況に陥らないよう、日頃から従業員が快適に働ける職場環境を構築しておくことが大切です。例えば以下のような施策が挙げられます。

  • 従業員の業務状況をヒアリングし適宜割り振りを見直す
  • 就業規則で社内のルールを明文化しておく
  • 有給の取得状況を把握し管理者から積極的に取得を呼びかけてもらう
  • 健康診断やストレスチェックなどの実施対象になっているか確認し、法律違反とならないよう適切に実行する
  • パワハラやセクハラなどが発生していないか常に目を光らせ、もしトラブルがあれば速やかに対処する
  • 勤怠管理システムを導入して従業員の勤務時間を正確に把握する

上記のように、従業員が安全に働ける職場環境を日頃から構築しておけば、もし臨検が実施されても余裕を持って対応できます。

とくに勤怠管理システムなら、勤務場所や規模などに関わらず従業員の勤務状況を正確に把握できるため、導入を検討することがオススメです。勤怠管理システムの中には、フリーウェイタイムレコーダーのように無料で利用できる製品もあるため、ぜひ検討してください。

悪質な事案の場合は送検される可能性もある

違反の内容が悪質であると判断された場合、送検される可能性も0ではありません。過去には、以下のような事案を起こした企業が送検されました。

  • 臨検の際に監督官へ嘘の報告を行った
  • 安全基準を満たさない現場で働かせた
  • 労使協定を締結しないまま違法な長時間労働を行わせた

送検されると「企業名が公表されて企業ブランドを著しく下げる」「従業員の仕事のモチベーションが低下する」といったネガティブな結果しかもたらしません。そのため、もし改善指導を受けた場合は、速やかに適切な対応を実施してください。

参照:厚生労働省|労働基準関係法令違反に係る公表事案

労基署の臨検は拒否できない

労基署による臨検は、原則として拒否できません。ただし、「担当者が不在でどうしても対応できない」「期日までに必要な書類を揃えることが難しい」といった理由で対応が難しい場合、日程変更の相談は可能です。

報告書には「今後の対応策」などを具体的に記載する

臨検で指摘された箇所を改善した後には、報告書を提出します。この報告書には、以下の項目を具体的に記載してください。

  • 指示を受けて実施した対応策
  • 受けた指導内容
  • 機械の改善状況
  • 点検した機械や設備の場所
  • 違反した法律

「注意します」といった漠然とした記載はNGです。企業の改善状況や向き合う姿勢を詳細に伝えるためにも、写真も交えながら必ず具体的にまとめてください。具体的な作成例は「魚津労働基準監督署|労基署からの指摘に対する是正・改善報告書の作成方法について」でまとめられています。

臨検に備えて社内で対応者を決めておく

臨検はすべての企業で実施される可能性があります。そのため「規模が小さいから自社には関係ない」などと考えず、いつ臨検を受けても対応できるよう、社内で担当者を決めてください。担当者を決めたうえで、必要な資料や帳簿、伝えるべき情報をまとめておけば、落ち着いて対応できます。

まとめ|日頃から快適な職場環境を作り上げる意識が大切

臨検とは、各企業が労働基準法などを守っているか確認する調査のことです。規模や業種に関わらず、どの企業でも実施される可能性があります。臨検の結果次第では指導されるケースもあり、もし指摘を受けたら速やかに改善策を実行することが必須です。

臨検は、予告なしで実施されることもあります。そのため、いつ調査が入ってもスムーズに受け答えできるよう、日頃から必要書類を整理し社内対応者も決めてください。

一番の理想は「臨検で何も改善を指導されないこと」です。従業員が快適に働く環境を整備する意味でも、常に「従業員の業務の割り振りを見直す」「就業規則で社内のルールを明文化しておく」といった施策を行ってください。

よくある質問

Q1.臨検とはどういったものか?

臨検は労働基準監督署の立ち入り調査のことです。各企業が労働基準法などを順守しているか確認するために行われます。

Q2.臨検はどんな流れで行われるの?

基本的には、以下の流れで行われます。

  • 臨検の予告を受け取る(予告なしのケースもあり)
  • 立ち入り調査を受ける
  • 調査実施後に結果報告を受ける
  • (是正項目があった場合)報告書を提出する

具体的な流れは企業ごとで異なるため、どのように調査されても落ち着いて対処してください。

Q3.指導票・改善勧告書・使用停止等命令書ではどの処分が重いのか?

「指導票→是正勧告書→使用停止等命令書」の順に、処分の程度が深刻になっていきます。

Q4.臨検を拒否した際に罰則はある?

臨検を拒否すると、労働基準法120条において30万円以下の罰金に処される可能性があります。原則として拒否できないため、調査が入ったら速やかに受け入れてください。

Q5.臨検ではどんな項目がチェックされる?

臨検で主にチェックされる項目は以下の通りです。

  • 一般労働条件:従業員が働く際の基本的な労働条件
  • 安全衛生:従業員の健康と安全を守り、安心して働けるような職場環境を作るための取り組み

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