在留資格とは?ビザとの違いや具体的な種類、取得方法、注意点をわかりやすく解説

更新日:2024年08月30日
在留資格

在留資格とは、外国人が日本に滞在する際に必要な資格のことです。「○○するために日本に滞在してよい」という許可証をイメージしてください。適切な在留資格があることで、入国管理局(入国審査官)から滞在を許可してもらえます。

在留資格の種類は、日本への入国目的や就労する仕事内容などに応じて異なります。手続き書類も複雑なため、外国人雇用を考えている企業は、事前にチェックが必須です。

今回の記事では、在留資格の概要やビザとの違い、具体的な種類、取得方法、注意点をわかりやすく解説します。

在留資格とは?簡単にわかりやすく解説

在留資格とは、外国人が日本に滞在する際に必要な資格のことです。在留資格を保有することで、一定期間は日本で活動できるようになります。

この在留資格には種類があり、それぞれによって「日本で就労できるか?」は異なります。外国人従業員が適切な種類の在留資格を取得せず就労した場合、本人だけでなく就労させた企業にも罰則が適用される可能性があるため、十分にご注意ください。

2024年8月時点では、「出入国管理および難民認定法(入管法)」において29種類の在留資格が定められています。

在留資格と似ている言葉の違い

在留資格と似ている言葉としては、以下が挙げられます。

  • 在留カード
  • ビザ

それぞれの違いを解説します。

在留カードとの違い

在留カードとは、在留資格を持って日本に長期間滞在する外国人が保有するカードのことです。氏名や生年月日、性別、国籍、住居地、在留資格、在留期間、就労可否などの情報が記載されています。記載事項に変更が生じた場合は、変更届の提出が必須です。在留カードは、観光目的などで一時的に滞在する外国人には交付されません。

関係性としては「在留資格が認定されると在留カードが発行される」と押さえておいてください。

参照:
就労ビザ申請サポート大阪
出入国在留管理庁 | 在留カードとは?

ビザとの違い

ビザとは、そもそも外国人が日本へ入国するために必要な書類のことです。大使館が該当の外国人のパスポートをチェックし、「日本へ問題なく入国できる」と許可した証に該当します。

関係性として「日本への”入国時”はビザが必要であり、実際に就労目的などで”滞在”するには在留資格による振り分けが必要」と押さえてください。

参照:外国人雇用・就労VISAサポートセンター

在留資格は4種類

在留資格は、在留の目的ごとに大きく以下の4種類に分けられます。

  • 活動制限「なし」で就労が認められる在留資格
  • 活動制限「あり」で就労が認められる在留資格
  • 就労の可否が「指定される活動」によって変わる在留資格
  • 就労が認められらない在留資格

上記の4つをさらに細分化すると「29種類」の在留資格に分けられます。日本に滞在する在留する外国人は、在留資格の範囲内で定められた在留期間に限り、活動が認められます。

紹介する4種類については、以下のサイトを参照しています。

参照:
出入国在留管理庁 | 在留資格一覧表
法務省 | 在留資格一覧表

活動制限「なし」で就労が認められる在留資格

以下の在留資格を保有している場合、仕事の種類や就労目的に関わらず日本に滞在できます。「居住資格」のイメージが近いかもしれません。

在留資格の種類 該当する例 在留期間
永住者 永住許可を受けている 無制限
日本人の配偶者等 日本人の配偶者や実子、特別養子である 「6ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
永住者の配偶者等
  • 永住者・特別永住者の配偶者である
  • 日本で生まれて引き続き在留している実子である
「6ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
定住者
  • 日系3世である
  • 外国人配偶者の連れ子である
「6ヶ月・1年・3年・5年・5年を超えない範囲で法務大臣が個別で指定する期間」のいずれか

活動制限「あり」で就労が認められる在留資格

仕事の種類は指定されますが、日本での就労が可能となる在留資格です。

在留資格の種類 該当する例 在留期間
外交 外国政府の大使や公使、あるいはその家族 外交活動の期間
公用 外国政府の公務を行う本人ありはその家族 「15日・30日・3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
教授 大学教授など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
芸術 作曲家や画家、作家など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
宗教 外国の宗教団体から派遣され、日本で布教を行う宣教師など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
報道 外国の報道機関の記者やカメラマンなど 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
高度専門職 以下のいずれか
  • 高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」:日本の公私機関と一緒に研究や研究指導、教育を行う
  • 高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」:日本の公私機関と一緒に、自然科学・人文科学の分野に関する知識や技術が必要な業務を行う
  • 高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」:日本の公私機関と一緒に事業経営の実施や管理を行う
  • 高度専門職2号:「高度専門職1号」で3年以上活動を行うことで、「高度専門職1号」の活動を含めてほぼすべての就労活動に従事できる
  • 高度専門職1号:5年
  • 高度専門職2号:無制限
経営・管理 企業の経営者や管理者など 「3ヶ月・4ヶ月・6ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
法律・会計業務 弁護士や公認会計士など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
医療 医師や歯科医師、看護師など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
研究 政府関係機関や企業の研究者など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
教育 中学校や高校の語学教師など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
技術・人文知識・国際業務 機械工学等の技術者や通訳、デザイナー、語学講師など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
企業内転勤 外国の事務所からの転勤者 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
介護 介護福祉士 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
興行 俳優や歌手、プロスポーツ選手など 「30日・3ヶ月・6ヶ月・1年・3年」のいずれか
技能 外国料理の調理師やスポーツ指導者など 「3ヶ月・1年・3年・5年」のいずれか
技能実習 技能実習生 1号:1年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間
2号:2年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間
3号:2年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間
特定技能 特定産業分野に関する相当な知識や経験、技能が必要な業務に従事する。詳細は「人材不足に対応するために制定された「特定技能」とは?」の章を参照 1号:1年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間
2号:「6ヶ月・1年・3年」のいずれか

就労の可否が「指定される活動」によって変わる在留資格

「就労可能か?」という点が、活動内容によって異なる在留資格です。就労可能な活動内容は細かくパターン分けされているため、外国人従業員が就労できるかの入念なチェックが必須です。

在留資格の種類 就労が可能な活動例 在留期間
特定活動
  • 外交官等の家事使用人
  • ワーキング・ホリデー
  • 経済連携協定に基づく外国人看護師
  • 介護福祉士候補者
「3ヶ月・6ヶ月・1年・3年・5年・5年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間」のいずれか

就労が認められらない在留資格

以下の在留資格では、原則として就労が認められていません。ただし、資格外活動許可を取得することで、収入を得るために活動できるようになります。

在留資格の種類 該当する例 在留期間
文化活動 日本文化の研究者など 「3ヶ月・6ヶ月・1年・3年」のいずれか
短期滞在 観光客や会議参加者など 「15日・30日・90日」以内のいずれか
留学 大学や短大、中学校、高校などの生徒 4年3ヶ月を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間
研修 研修生 「3ヶ月・6ヶ月・1年」のいずれか
家族滞在 在留外国人が扶養する配偶者や子ども 5年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定する期間

人材不足に対応するために制定された「特定技能」とは?

在留資格をチェックするうえで重要度の高い項目が、2019年4月から新設された「特定技能」です。特定技能とは、人手不足が著しい産業分野で人材を確保するために、一定の専門性や技能を持っており即戦力となれる外国人を雇用できる制度です。すでに技能を持っているため、企業としては教育コストを大きく割かずに貴重な即戦力を確保できます。

特定技能の種類および対象職種は以下の通りです。

特定技能の種類 概要 対象の12職種
特定技能1号 特定産業分野について、相当の知識や経験が必要な業務に従事する外国人向けの在留資格。基本的に家族の帯同は不可
  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気・電子情報関連製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
特定技能2号 特定産業分野について、熟練の知識や経験が必要な業務に従事する外国人向けの在留資格。要件を満たせば家族の帯同が可能

詳細は「外務省 | 在留資格 特定技能」で詳しくまとめられているためご確認ください。

在留資格の取得方法は目的ごとで異なる

在留資格の具体的な取得方法は、日本への滞在目的に応じて異なります。ここでは、以下3つの目的ごとで在留資格の取得方法の概要をまとめました。

  • 入国前の外国人が新規で在留資格を取得したい場合
  • 持っている在留資格の種類を変更したい場合
  • 持っている在留資格を更新したい場合

詳細は在留資格の種類ごとで細かく異なるため、具体的な手続きは、各章の最後に設置した出入国在留管理庁の公式サイトよりご確認ください。

いずれの場合も「オンライン申請」が可能です。

入国前の外国人が新規で在留資格を取得したい場合

入国前の外国人(短期滞在者と永住者を除く)が新規で在留資格を取得したい場合は、「在留資格認定証明書交付申請」の申請が必要です。在留資格認定証明書を発行し、大使館でのビザ申請や上陸申請のタイミングで提出することで、ビザ発給や上陸許可を受けられます。

項目 概要
申請時期 とくに期限はないが、入国前に交付されるよう余裕をもって申請書類を提出する
書類の提出先 居住予定地・受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署(郵送提出は不可)
手数料 なし
発行までの期間 1〜3ヶ月程度
問い合わせ先 地方出入国在留管理官署」あるいは「外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904)」

詳細は「出入国在留管理庁 | 在留資格認定証明書交付申請」をご確認ください。

持っている在留資格の種類を変更したい場合

持っている在留資格の種類を変更したい場合は、「在留資格変更許可申請」の申請が必要です。すでに在留している外国人が、在留目的を変更して別の在留資格に該当する活動を行う場合に提出を求められます。

項目 概要
申請時期 在留資格変更の事由が発生してから在留期間の満了日を迎えるまで
書類の提出先 住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
手数料 4,000円(許可された場合)
発行までの期間 2週間〜1ヶ月程度
問い合わせ先 地方出入国在留管理官署」あるいは「外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904)」

詳細は「出入国在留管理庁 | 在留資格変更許可申請」をご確認ください。

持っている在留資格を更新したい場合

持っている在留資格を更新したい場合は、「在留期間更新許可申請」の申請が必要です。現在保有する在留資格を変更せず、規定の在留期間を超えて引き続き在留を希望する場合に手続きを行います。

項目 概要
申請時期 在留期間の満了日を迎えるまで(6ヶ月以上の在留期間の場合は満了日の約3ヶ月前が目安。ただし、入院や長期出張など特別な事情がある場合は、3ヶ月以上前からの申請も可能)
書類の提出先 住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
手数料 4,000円(許可された場合)
発行までの期間 2週間〜1ヶ月程度
問い合わせ先 地方出入国在留管理官署」あるいは「外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904)」

詳細は「出入国在留管理庁 | 在留期間更新許可申請」をご確認ください。

在留資格に関して企業が押さえるべき注意点

在留資格は種類が多く、申請時も在留目的に応じた書類提出が必要なため複雑です。その中でも、企業はとくに以下の点に注意を払ってください。

  • 「不法就労」が発生しないよう入念にチェックする
  • 在留資格を紛失すると再発行できない
  • 在留資格の申請から発行まで時間がかかる

「不法就労」が発生しないよう入念にチェックする

在留資格がない状態で従業員を働かせると、不法就労に該当します。不法就労が発生すると、従業員本人だけでなく企業にも罰則が適用される可能性があります。

不法就労の例は以下の通りです。

  • 在留期間の切れた従業員が働く
  • 退去強制が決まっている従業員が働く
  • 観光の短期滞在目的で入国した人が働く
  • 難民認定申請中の外国人が許可を受けずに働く
  • 語学学校の教師として働くことを認められた外国人が工場や事務所で働く

参照:厚生労働省 | 外国人労働者安全衛生管理の手引きp.3

不法就労を防ぐためにも、外国人を雇用する際は、在留カードを見て以下の点をチェックしてください。

  • 在留期間が切れていないか?
  • 就労が許可されていない在留資格(留学・家族滞在・研修・文化活動・短期滞在など)に該当していないか?

参照:近畿経済産業局 | 外国人と働くときに知っておきたい在留資格 職場のみんなでチェック!

在留資格を紛失すると再発行できない

在留資格は、紛失すると再発行できません。再度「在留資格認定証明書交付申請」の提出が必要です。申請手続きは「入国前の外国人が新規で在留資格を取得したい場合」の章をご確認ください。

在留資格の申請から発行まで時間がかかる

在留資格の申請から発行までには一定の時間がかかります。「新規の申請:1〜3ヶ月程度」「在留資格の種類の変更あるいは更新:2週間〜1ヶ月程度」と考えておいてください。

まとめ | 海外の人材を活用する際は正しく在留資格を発行しよう

外国人を雇用する場合、企業は「在留資格」の確認が必須です。在留資格は、在留の目的や就労する仕事内容に応じて種類が異なります。もし「在留資格が就労目的ではない外国人を雇用してしまった」という場合、予期せず法律違反に該当することになりかねません。

海外の人材を正しい手続きで雇用し、自社で心置きなく活躍してもらうためにも、在留資格のチェックは入念に行ってください。

具体的な手続きなどは、必ず出入国在留管理庁の公式サイトでチェックが必要です。

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