【2025年4月施行】育児・介護休業法の改正内容を解説!準備内容も紹介

更新日:2025年02月03日
育児介護休暇法改正 2025

育児・介護休業法は、労働者が仕事と育児・介護を両立できるように支援する制度です。昨年の国会で、2025年4月と10月に分けて改正された育児・介護休業法を施行することが決まりました。

この記事では、育児・介護休業法の改正内容や企業として必要な対応策を紹介します。育児・介護離職の増加にお悩みの企業は、最後までご覧ください。

目次

育児・介護休業法は2025年4月から段階的に改正される

育児・介護休業法は、労働者が育児や介護と仕事を両立できるよう、定められた法律です。労働者の育児・介護退職を避けるため、育児休業や介護休業、残業の制限など、さまざまな支援制度が設けられています。

育児や介護を抱える労働者にとって働きやすい環境を整備するため、2024年に国会で育児・介護休業法等改正が可決されました。改正法の施行は2025年4月、10月の2回に分けて予定されています。

育児・介護休業法改正に関して企業規模を問わず必要な内容

2025年4月から施行される育児・介護休業法の改正内容に関して、以下の内容は企業規模を問わず対応が必要です。

  • 就業規則の見直し
  • 人事評価制度の見直し

具体的な内容を詳しくみていきます。

就業規則の見直し

就業規則は事業場で常時10人以上の従業員が働く場合、必ず作成が必要です。法改正が発表された際は、施工内容に合わせて内容を見直さなければなりません。古い就業規則のまま運用を続けた場合、法律違反や従業員との労務トラブルを招く可能性が高まります。

就業規則を変更する際は、以下の流れで変更手続きを進めていきます。

  1. 就業規則案の作成
  2. 労働組合に意見を聴取
  3. 労働基準監督署に就業規則を提出
  4. 従業員へ周知

就業規則を見直す際は、変更内容を反映した案を作成し、従業員の過半数で構成された労働組合から意見を聞かなければなりません。労働組合がない場合は、従業員の過半数を代表する者を選出し、意見の聞き取りをおこないます。

また、合意が取れた後は、労働組合または代表者の意見書を添付し、変更した就業規則を労働基準監督署に提出します。提出が完了したら、変更した就業規則の内容を事業場で働くすべての従業員へ周知してください。

人事評価制度の見直し

テレワークを導入する場合、人事評価制度の見直しが必要となる場合があります。オフィスワークと異なり、従業員の仕事に取り組む姿勢や勤務態度を直接確認できません。

多くの企業で評価基準の1つとして導入している「情意評価(仕事への熱意や責任感など)」を下す際、テレワークだと検討材料が少なくなり、新たな基準や評価手法の導入が必要になるケースがあります。

仮に人事評価制度を見直さずにテレワークを導入した場合、評価基準が曖昧だと感じた従業員が不満を募らせる可能性があります。

また、業務の成果や能力を直接評価する新たな評価制度の導入も、モチベーション低下を防ぐ方法の1つです。

近年はMBOやOKRなど、企業が導入する評価手法も多様化しています。MBOは従業員自身が目標を設定し、目標の達成度合いを評価する手法です。一方、OKRは会社全体の大きな目標を細分化し、個人目標を設定する手法です。

他にも評価方法は多数存在するため、各手法の特徴を調査した上で、自社に合った手法を導入しましょう。

ただし、極端な成果主義は従業員の不満・不安が募る原因になります。自社の社風や従業員の志向に合わせて、こまめに見直しをしましょう。

2025年4月から施行される育児・介護休業法の改正内容

2025年4月から施行される育児・介護休業法の改正内容に関して、以下にまとめました。

対象 主な改正内容 施行前(現在) 施行後 施行開始時期
子の看護休暇の見直し ①:子どもの対象年齢拡大
②:休暇取得の理由が追加
③:休暇取得の要件の1つが撤廃
  • 小学校就学前
①:小学校3年生
②:学級閉鎖と卒業式を追加
③:継続雇用期間6か月未満を撤廃
2025/04/01
残業免除の対象労働者が拡大 子どもの対象年齢拡大 3歳未満の子どもを持つ労働者 小学校就学前の子どもを持つ労働者 2025/04/01
短時間勤務が困難な業務の代替処置にテレワークを追加
  • 短時間勤務が困難な業務に対して、テレワークを追加
  • 育児休業に関する制度に準ずる措置
  • 始業時刻の変更等
①:テレワーク
②:育児休業に関する制度に準ずる措置
③:始業時刻の変更等
2025/04/01
育児を抱える労働者に対してテレワークを導入 テレワークの導入を努力義務化 なし 3歳未満の子どもを持つ労働者が、テレワークで働ける職場環境を整備 2025/04/01
男性従業員の育児休業取得率の公表 公表義務の適用対象企業を拡大 従業員数が1,000人を超える企業 従業員数が300人を超える企業 2025/04/01
介護休業取得の要件緩和 継続雇用期間6か月未満を撤廃
  • 週の所定労働日数が3日以上
  • 継続雇用期間6か月超
  • 週の所定労働日数が3日以上
2025/04/01
介護離職防止を目的とした職場環境の整備 4つの選択肢のうち、最低でも1つ以上の内容を実施 なし ①:介護休業、介護両立支援制度等に関する研修の実施
②:介護休業・介護両立支援制度等に関する相談窓口の設置
③:介護休業取得・介護両立支援制度等の利用事例に関する情報収集と公開
④:介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
2025/04/01
介護に直面した労働者へ介護休業全般に関する制度の説明と利用意向の確認 4つの内容に関して、対象労働者へ個別周知と利用意向を確認 なし
  • 介護休業
  • 介護両立支援制度
  • 介護休業給付金
  • 介護休業や介護両立支援制度の申請先
2025/04/01
介護を抱える従業員へテレワークを導入 要介護状態の家族を介護する労働者が、テレワークを選択できる環境を整備 なし 対象労働者がテレワークを選択できるよう、職場環境を整備 2025/04/01
働き方の選択肢を拡大 3歳~小学校就学前の子どもを持つ労働者に関して、柔軟な働き方を提示 なし 以下5つの選択肢から2つの内容を実施
①:始業時刻等の変更
②:1ヶ月でテレワークを10日以上実施
③:保育施設の設置と運営
④:養育両立支援休暇を年間10日以上付与
⑤:短時間勤務制度の導入
2025/10/01
柔軟な働き方の実現に向けての個別周知と確認 3歳未満の子を持つ労働者に対して、柔軟な働き方に関する周知と利用意向の確認 なし ①:選択した2つの内容の提示と利用意向の確認
②:実施する処置に関する相談先の提示
③:時間外労働全般に関する免除の制度説明と利用意向の確認
2025/10/01
仕事と育児の両立に関する個別の意向確認と配慮 労働者本人または配偶者が妊娠・出産を申し出た際、利用意向を確認 なし
  • 以下4つの事項に関して意向を確認
①:勤務時間帯
②:勤務地
③:両立支援制度等の利用期間
④:仕事と育児を両立するための就業条件
2025/10/01

10月と比べて4月1日から施行予定の内容が多くなっています。未対応の内容がある場合、すぐに準備に取りかかりましょう。

また、法改正に対応するため、就業規則の見直しと労使協定の締結も求められます。

子の看護休暇の見直し

子の看護休暇とは、小学校就学前の子どもを持つ労働者が、怪我や病気をした子どもを看護するために、年5日休暇を取得できる制度です。子どもが2人以上いる場合は、1年で最大で10日取得できます。

今回の法改正による変更点は、以下の3つです。

  1. 子どもの対象年齢が小学校3年生まで延長
  2. 休暇取得の理由に感染症にともなう学級閉鎖、入卒園式と入学式が追加
  3. 休暇取得の要件である継続雇用期間6か月未満の要件が撤廃

2に関しては上記に加えて、子どもの予防接種や健康診断に付き添う際にも休暇取得が認められます。また、3に関しては雇用期間の制限が撤廃されたことにより、子の看護休暇を取得する際の要件は労働日数(週の所定労働日数が3日以上)のみとなりました。

小学校3年生までの子どもを持ち、週3日以上働く労働者は誰でも子の看護休暇を取得できます。

改正内容 現在 施行後(2025/4/1~)
子どもの対象年齢拡大 小学校就学時期まで 小学校3年生まで
休暇取得の要件
  • 週の所定労働日数が3日以上
  • 継続雇用期間が6ヶ月超
  • 週の所定労働日数が3日以上(継続雇用期間の条件が撤廃)

時間外労働の制限に関する対象労働者の拡大

2025年4月から時間外労働の制限対象となる労働者が、「3歳未満の子どもを持つ労働者」から「小学校就学前の子どもを持つ労働者」に拡大されます。

法改正によって、育児をしながら働く多くの労働者が子どもと向き合う時間をこれまでより多く確保できます。

改正内容 現在 施行後(2025/4/1~)
対象労働者の拡大 3歳未満の子どもを持つ労働者 小学校就学前の子どもを持つ労働者

短時間勤務が困難な業務の代替処置にテレワークを追加

短時間勤務が困難な業務に加え、具体的な担当業務を持つ労働者が存在している企業が対象です。代替処置の選択肢に新たにテレワークが追加されました。労働者は育児休業の取得や始業時刻の変更と合わせて、3つのなかから選択できるようになります。

いずれの処置を実施する場合は除外規定を設け、労使協定を締結する必要があります。

改正内容 現在 施行後(2025/4/1~)
代替処置の選択肢を追加
  • 育児休業に関する制度に準ずる措置
  • 始業時刻の変更等
  • 育児休業に関する制度に準ずる措置
  • 始業時刻の変更等
  • (追加)テレワーク

テレワークの導入を努力義務化

3歳未満の子どもを持つ労働者に対して、テレワークで働ける環境を整えるよう、各企業に努力義務が課せられました。ただし、努力義務扱いのため、テレワークを導入しなかったとしても、企業側に罰則は科せられません。

また、新たにテレワークを導入する場合、就業規則の見直しも必要です。

改正内容 現在 施行後(2025/4/1~)
3歳未満の子を持つ労働者へテレワークの選択肢を提示 なし 3歳未満の子を持つ労働者がテレワークで働けるような職場環境を整備

男性従業員の育児休業取得率に関して公表義務の適用対象を拡大

2025年4月から従業員数が300人を超える企業に対して、男性従業員の育児休業取得率を毎年1回公表するよう、義務付けられます。法改正前は従業員数が1,000人を超える大企業のみでした。

総務省統計局の調査によると、2021年6月時点で従業員数が1,000人を超える企業は0.12%でした。一方、従業員数が300人以上の企業も国内の0.87%です。

調査から3年以上が経過しており多少の増減はありますが、法改正で対象範囲が拡大しても、適用対象は国内企業の約1%です。また、育児休業取得率の公表は義務化されている一方、取得率を公表しなくても罰金は科せられません。

ただし、育児休業取得率を非公開の企業は、育児・介護休業法の法律違反とみなされ、法に基づく公表を行わなかった企業として、企業名が公表されます。求職者や取引先から「育児休業を取得しづらい企業」とネガティブな印象を持たれる可能性があるため、注意が必要です。

改正内容 現在 施行後(2025/4/1~)
公表義務の適用対象拡大 従業員数1,000人超の企業 従業員数300人超の企業

対象労働者の要件緩和

介護休暇を取得する際の要件の1つ「継続雇用期間が6か月を超える労働者」が、撤廃されました。法改正によって、週3日以上働いている労働者は雇用形態を問わず、介護休暇を取得できます。

改正内容 現在 施行後(2025/4/1~)
継続雇用期間が6か月未満の要件を廃止
  • 週の所定労働日数が3日以上
  • 継続雇用期間が6か月超
  • 週の所定労働日数が3日以上

介護離職防止を目的とした職場環境の整備

労働者の介護退職を防ぐため、以下の4つからいずれかの処置を講じなければなりません。

  1. 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
  2. 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談窓口の設置
  3. 介護休業取得・介護両立支援制度等の利用事例に関する情報収集と公開
  4. 介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

介護両立支援制度の内容は、介護休暇の取得促進や残業の免除、短時間勤務の導入があげられます。今回の法改正では、上記4つの選択肢の少なくとも1つを実施するよう定められています。

ただし、介護離職の防止に十分とは限りません。選択した処置を講じても、介護離職が止まらない場合は、複数の処置を実施してください。

改正内容 施行後(2025/4/1~)
介護離職を防ぐための職場環境の整備 以下の4つから少なくとも1つを実施
  • 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
  • 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談窓口の設置
  • 介護休業取得・介護両立支援制度等の利用事例に関する情報収集と公開
  • 介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

介護を抱える従業員への個別周知と確認

介護と仕事の両立に悩む労働者に対し、個別で介護休業の制度全般に関する周知が求められます。周知する際に伝えるべき項目を以下に記載しました。

  1. 介護休業
  2. 介護両立支援制度
  3. 介護休業給付金
  4. 介護休業や介護両立支援制度の申請先

周知する際、介護休業や介護両立支援制度の利用、介護休業給付金の取得を妨害する行為は禁止です。労働者がハラスメントと感じないよう、細心の注意を払わなければなりません。また、労働者に制度の周知や意向を確認する際は、以下4つの方法から選択します。

  • 面談
  • 書面
  • メール
  • FAX

面談は対面とオンライン、どちらでも可能です。メールやFAXは、労働者側が希望した場合のみ選択可能となります。
また、40歳を迎える労働者に対して、本格的な介護に直面する前に各種制度に関して理解を深めてもらい、介護離職を防ぐために誕生日から1年以内に介護休業や介護両立支援制度に関して、同様の方法で企業側が情報提供の場を設けなければなりません。

改正内容 施行後(2025/4/1~)
介護に直面した労働者へ介護休業全般に関する制度の説明と利用意向の確認
  • 介護休業と介護両立支援制度の説明と意向確認
  • 上記制度に関する相談先の紹介
  • 介護休業給付金に関する説明と意向確認
40歳を迎える労働者への情報提供
  • 介護休業と介護両立支援制度の説明と意向確認
  • 上記制度に関する相談先の紹介
  • 介護休業給付金に関する説明と意向確認

介護休業給付金とは

介護休業給付金とは配偶者や父母、子どもなどを介護するため、介護休業を取得した際に支給が認められる給付金です。介護休業給付金を受け取るには、複数の要件を満たさなければなりません。以下に要件を記載しました。

  • 雇用保険の被保険者
  • 家族の常時介護のため2週間以上の休業が必要
  • 介護休業開始日前2年間に11日以上就業した月が12カ月以上
  • 介護休業中に仕事をした日数が月に10日以下
  • 休業後の職場復帰が前提
  • 介護休業期間中の賃金が休業開始時の賃金と比べて80%未満

上記の要件を満たすと、基本日額×67%の額が休業日数分もらえます。仮に基本日額が10,000円と仮定し、30日間仕事を休んだとしましょう。介護給付金の受給額は、10,000×0.67×30=201,000円です。

また、介護休業給付金を利用する際は注意点がいくつかあります。
1つめは介護休業で仕事を休んでる間、給付金は支給されない点です。介護休業給付金は休業期間を終えてから申請手続きをおこないます。休業期間中は生活費を別途確保しておかなければなりません。

2つめは介護対象者1人につき、最大93日までしか給付金が支給されない点です。3回まで分割受取が認められていますが、合計で93日を過ぎると対象者の体調が悪化しても介護休業給付金は支給されません。

3つめは他の給付金と同時に受け取れない点です。たとえば、育児休業給付金と同じ時期に、介護休業給付金を受け取ることはできません。

従業員が介護休業給付金を利用する際は、事前に上記の点を理解しておくよう、会社からのサポートが必要です。

介護を抱える従業員へテレワークを導入

要介護状態の家族を持つ従業員に対して、テレワークで働ける環境を整備することが努力義務として課せられました。他の内容と同じく努力義務のため、現時点で導入できなかったとしても、罰則はありません。

改正内容 施行後(2025/4/1~)
要介護状態の家族を抱える労働者へテレワークで働く選択肢を提示 テレワークで働けるよう、職場環境を整備

2025年10月から施行される育児・介護休業法の改正内容

2025年10月から施行予定の内容は以下の3つです。

  • 働き方の選択肢を拡大
  • 柔軟な働き方の実現に向けての個別周知と確認
  • 仕事と育児の両立に関する個別の意向確認と配慮

今後の働き方に関する意向を労働者に確認する際、細心の注意が必要です。聞き取り方によっては、労働者に利用の制限・禁止を強要されたとの印象を与える可能性があります。ハラスメントを防ぐため、個別周知と意向確認の内容を十分理解することが重要です。

働き方の選択肢を拡大

3歳〜小学校就学前の子どもを持つ労働者に対し、以下5つの選択肢から2つの内容を講じるよう、義務化されました。

  1. 始業時刻等の変更
  2. 1ヶ月でテレワークを10日以上実施
  3. 保育施設の設置と運営
  4. 養育両立支援休暇を年間10日以上付与
  5. 短時間勤務制度の導入

1に関しては時差出勤かフレックスタイム制、いずれかの導入が選択肢となります。2と4に関しては、時間単位での取得を原則的に認めなければなりません。
どちらを選んでも、対象者の1日の所定労働時間は変更できず、フルタイムで働いている場合、1日8時間の制限は維持されます。

3に関しては、ベビーシッターの手配や費用援助なども措置に含まれます。5に関しては、該当労働者の1日の労働時間は原則6時間に設定します。

改正内容 施行後(2025/10/1~)
3歳~小学校就学前の子どもを持つ労働者が柔軟に働ける環境を整備 以下5つの選択肢から2つ以上を実施
  • 始業時刻等の変更
  • 1ヶ月でテレワークを10日以上実施
  • 保育施設の設置と運営
  • 養育両立支援休暇を年間10日以上付与
  • 短時間勤務制度の導入
3歳未満の子どもを持つ労働者に対し、働き方に関する周知と利用意向を確認
  • 柔軟な働き方に関して、5つの選択肢から選んだ内容の提示と利用意向の確認
  • 実施する処置に関する相談先の提示
  • 時間外労働全般に関する免除の制度説明と利用意向の確認

柔軟な働き方の実現に向けての個別周知と確認

3歳未満の子どもを持つ労働者が柔軟な働き方を実現できるよう、上記で選択した2つの措置に関する周知と利用意向の旨を個別で確認しなければなりません。個別対応の期限は、労働者の子どもが1歳11ヶ月〜2歳11ヶ月になるまでになります。

また、内容を周知する際、以下2つに関する事項も伝えておかなければなりません。

  1. 対象措置の申出先や相談先
  2. 時間外労働の制限に関する制度

上記の内容を個別に伝えた上で、労働者から利用意向を確認します。周知や意向確認の際、各種措置の利用を禁じるような言動は厳禁です。

周知の方法は以下の4つから選択します。

  1. 面談
  2. 書面
  3. メール
  4. FAX

面談は対面とオンライン、どちらでも可能です。メールとFAXに関しては労働者が希望した場合のみ、選択可能です。

改正内容 施行後(2025/10/1~)
3歳未満の子を持つ労働者に対して、柔軟な働き方に関する説明と利用意向の確認
  • 選択した2つの内容の提示と利用意向の確認
  • 実施する処置に関する相談先の提示
  • 時間外労働全般に関する免除の制度説明と利用意向の確認

仕事と育児の両立に関する個別の意向確認と配慮

従業員本人または配偶者が妊娠・出産を申し出たタイミングに加え、子どもが3歳になるまでに以下の事項を個別で確認する必要があります。

  1. 勤務時間帯(始業終業時刻)
  2. 勤務地(就業場所)
  3. 両立支援制度等の利用期間
  4. 仕事と育児を両立するための就業条件

上記の事項を伝えた後は他の内容と同様、労働者の意向を確認します。意向内容によっては、労働条件の見直しや業務量の調整、担当業務の変更などが必要です。また、労働者への周知と意向確認の方法は、他の内容と同じになります。

改正内容 施行後(2025/10/1~)
子どもが3歳になるまで、仕事と育児の両立に関する利用意向の確認 以下4つの事項に関して意向を確認
  • 勤務時間帯
  • 勤務地
  • 両立支援制度等の利用期間
  • 仕事と育児を両立するための就業条件
意向内容に応じて、労働者へ配慮
  • 勤務時間帯の変更
  • 勤務地の変更
  • 業務量の調整
  • 両立支援制度等の利用期間を見直し
  • 労働条件の見直し

2025年育児・介護休業法改正に向けた対策【中小企業向け】

育児・介護休業法改正に向け、中小企業が取るべき対策を4つ紹介します。

  • 社労士への相談
  • 業務プロセスの見直し
  • 業務のデジタル化と省人化の推進
  • アウトソーシングサービスの検討

労働人口の減少によって、自社が求める人物像に合った人材を採用するのは難しい状況です。業務プロセスの見直しや業務のデジタル化推進など、少ない人数で生産性を高める手段を考える必要があります。

社労士への相談

育児・介護休業法の改正に向け、どこから対応すべきかわからなくなっている方向けの選択肢です。社労士は人事労務の制度や労働関連の法律に精通した専門家です。

2025年の育児・介護休業法の改正では、どのような点が変化し、どのような対応が必要か、わかりやすい説明が受けられます。

また、社労士は人事労務の業務代行や各種制度見直し、個別の問題解決に関する相談も受け付けています。社労士に相談できる内容を以下の表にまとめました。

労務関連の業務 社内ルール 労務問題
主に相談・依頼できる内容
  • 給与計算
  • 勤怠管理
  • 社会保険の加入手続き
  • 労災申請
  • 助成金申請
  • 就業規則の作成と見直し
  • 各種規程の作成と見直し
  • 人事評価制度の見直しと作成
  • 労使協定
  • 福利厚生
  • 雇用契約
  • 人事/労務管理のコンサルティング
  • 人事/労務管理システムの導入
  • 労働基準監督署や年金事務所への対応
  • ADR(裁判外紛争解決手続)の代理

上記に加えてテレワークの導入やハラスメント、退職金など、さまざまな内容を相談できます。自社が対応すべき内容の整理や優先順位付けにお困りの方は、一度社労士に相談するのがおすすめです。

客観的な視点から自社の職場環境を分析してもらえるため、課題や必要な対策を正確に把握できます。また、給与計算や勤怠管理など、労務管理の業務代行を依頼すると、労務担当者の負担を軽減できます。

各種制度に精通したプロに作業を任せられるため、業務の効率性と正確性を高いレベルで両立できる点も魅力です。社労士へ相談する方法は、顧問契約の締結とスポット依頼、2つの方法があげられます。

普段から定期的に相談をしている社労士がいない限り、まずはスポット依頼から始めるのが無難です。顧問契約を締結した場合、社労士との相性が合わなかったとしても、半年〜1年は毎月顧問料を支払わなければなりません。

業務プロセスの見直し

大企業と比べて人的リソースの制限が大きい中小企業は、少ない人数で業務をスムーズに回せるよう、業務プロセスの見直しが必要です。少子高齢化や働き方の多様化、フリーランスへの転向などによって、国内では採用難の傾向が続いています。

労働条件が整っている企業に応募が集まりやすく、自社の条件に見合った人材を採用するのは難しい状況です。新規人材の採用が見込めない以上、既存従業員が働きやすく、成果を出しやすい職場環境を整備しなければなりません。

業務効率の改善には、業務プロセスの無駄や煩雑さを排除し、シンプルにする必要があります。また、特定の従業員に負荷がかからないよう、業務マニュアルの作成や見直しも進めてください。

わかりやすいマニュアルの作成によって、業務の属人化を回避できるため、育児や介護で一時的に職場を離れる社員がいても他の従業員がスムーズに仕事を引き継ぐことができます。さらに、新入社員が入ってきた際も、早期の即戦力化が期待できるでしょう。

業務のデジタル化と省人化の推進

これまでアナログで業務を進めてきた企業も、今後は業務のデジタル化や省人化を推進しなければなりません。今回の法改正の中でも、3歳未満の子どもを持つ労働者や介護を抱える労働者向けに、テレワーク環境の整備が求められています。

ただし、各種システムやソフトウェアの導入には費用がかかり、いきなりテレワークを導入するのは困難な場合もあるでしょう。また、業務フローの変更によって取引先との関係に影響が出ることも避けなくてはいけません。

まずはビジネスチャットやグループウェアなど、社内向けツールの導入から始めるのが無難な方法です。運用に慣れてきたら、だんだんと給与計算システムや勤怠管理システムなど、バックオフィス系のシステムを導入し、業務スタイルの変革を図るとよいでしょう。

アウトソーシングサービスの検討

自社の条件に見合った人材を採用できず、人手不足が慢性化している企業向けの選択肢です。アウトソーシングサービスとは、業務の一部を外部の専門企業へ委託できるサービスです。委託できる主な業務内容を以下の表にしました。

営業事務 総務 経理 人事
  • 見積書の作成
  • 受発注管理
  • データ入力
  • 資料作成
  • スケジュール管理
  • マニュアルの作成
  • 来客や電話対応
  • 問い合わせ対応
  • 記帳代行
  • 請求書や領収書の作成
  • 伝票処理
  • 入金管理
  • 求人票の作成
  • スカウトメールの送信
  • 面接の日程調整
  • 説明会資料の作成

近年はECサイト運営や広報、マーケティング業務の代行など、対応可能な業務の幅が広いサービスも増えています。アウトソーシングを利用するメリットは、業務効率化と並行してコスト削減を図れる点です。

実務経験や専門知識が豊富な方に作業を任せられるため、正確かつ素早い仕事ぶりが期待できます。作業の進め方や注意点なども熟知しており、一から業務を教える必要もありません。

サービスを利用し続ける限り、一定水準以上の業務品質が望めるため、採用難の時代にも適したサービスと言えるでしょう。

反面、依頼する業務量に応じて費用も高くなります。依頼する業務範囲を明確化しておくことが重要です。

2025年育児・介護休業法改正に向けた対策【中堅~大企業編】

2025年育児・介護休業法改正に向け、中堅企業や大企業が取るべき対策を以下に記載しました。

  • テレワークの実施に向けたITツールの導入
  • 業務体制の見直し
  • 現在の育児休業取得率を確認

中小企業と比べ、中堅企業や大企業は資金や人的リソースに恵まれています。ITツールの導入や業務体制の見直しなど、柔軟な働き方の実現に向けた対策を多数実施しましょう。

テレワークの実施に向けたITツールの導入

テレワークを実施するには、複数のITツールを導入し、就業場所を問わず働ける環境を整えなければなりません。最低限必要となるツールを以下に記載しました。

  • Web会議システム
  • ビジネスチャット
  • オンラインストレージ
  • 勤怠管理システム
  • グループウェア
  • タスク管理ツール

上記に加えて給与計算システムや顧客管理システムなど、職種ごとのツールも必要になります。まずはテレワークを実施する上で、不足しているツールをリストアップし、導入計画を立ててください。

導入期限が曖昧な場合は後回しになり、テレワーク導入に向けた準備が進まない可能性が高くなります。また、複数のツールが足りない場合、GoogleWorkSpaceやOffice365を利用するのがおすすめです。

どちらもビデオ会議やオンラインストレージ、ビジネスチャットなど、複数の機能を搭載したクラウドサービスです。多くの機能を搭載しているため、ツール選定の手間や導入費用を削減できます。

業務体制の見直し

今回の法改正によって、育児や介護を抱える従業員にとっては働きやすい環境が整いつつあります。反面、他の従業員の負担が大きくなる可能性も高まりました。

仮に、フルタイムで働く従業員が育児休業を取得した場合、従業員が担当していた業務を他の従業員が分担しなければなりません。過度な負担の発生を避けるには、担当業務の変更や業務量の調整など、業務体制の変更が必要です。

また、業務体制を見直しても業務運営に支障が生じる場合、新規人材の採用やITツールの導入、業務の委託を検討しましょう。業務負担の増大が続くと、従業員のモチベーション低下や体調不良、離職を招く可能性が高まります。

現在の育児休業取得率を確認

従業員数が300人を超える企業は、2025年4月から毎年1回、男性従業員の育児休業取得率を公表しなければなりません。

育児休業の取得率は、自社のホームページまたは厚生労働省の運営する「両立支援のひろば」に掲載されます。仮に男性従業員の育児休業取得率を公表しなくても、罰金は発生しません。

ただし、「育児休業が取得しにくい企業」との印象を持たれる可能性があります。イメージダウンを避けるには、現在の男性従業員の育児休業取得率を把握し、低いようなら今後の対策を考える必要があります。

育児・介護休業法の改正に向けて早めの準備が大切

育児・介護休業法の改正は、2025年4月1日から施行される内容が多いため、早めに準備を進めておかなければなりません。まずは改正内容を理解し、自社が未対応の部分を把握することが必要です。

把握したあとは、対応が義務化されている内容から優先的に準備を進めていきましょう。
今回の法改正では義務化された内容にすぐ対応できなくても、罰金などの罰則は発生しません。ただし、法律違反の事実には変わりなく、厚生労働大臣から勧告を受けることになります。

さらに、改善が見られない場合は企業名が公表され、取引先や求職者にネガティブな印象を与えます。
また、どこから手を付けていいかわからない場合は、社労士に相談するのがおすすめです。社労士は労務管理や労働関連の法律に精通した専門家で、今回の法改正の内容も丁寧に解説してもらえます。

就業規則の見直しや給与計算などの代行も依頼できるため、労務管理の負担軽減も図れます。法改正に向けた対応にお困りの場合は、社労士への相談から始めてみましょう。

よくある質問

Q1.育児・介護休業法の改正内容は2025年のいつから施行予定ですか?
4月1日からです。子の看護休暇の見直しや労働者の対象要件緩和など、多くの内容が改正されます。育児・介護離職を少しでも減らすには、改正内容や制度への理解を深め、対策を考えておくことが重要です。
Q2.育児・介護休業法に関しては誰に相談できますか?
社労士に相談するのがおすすめです。労務関連に精通しており、双方の制度や改正内容に関してプロの視点から解説をしてもらえます。また、就業規則や各種規定の見直しなど、今回の法改正で対応が必要な作業の代行を依頼できる点も魅力です。
このエントリーをはてなブックマークに追加

pagetop