新入社員・中途社員の入社手続き6ステップと必要書類

更新日:2023年04月13日
入社手続き 書類

人材不足に悩む企業も多い中、新しく社員を迎え入れられることは喜ばしいことです。しかし、いざ入社となると、入社前に書類送付をおこなったり、入社日から数日以内に提出しなければいけなかったりと、企業の人事・労務担当者にとっては迅速かつ間違いのない手続きが複数の項目にわたって求められ、大きな負担となってしまいます。

そこで、この記事では、新卒社員・中途社員の入社手続き6ステップと、作成が必要な書類とその対象者を書類をダウンロードできるURLとあわせて紹介します。貴社の入社手続きにぜひ役立ててください。

※なお、この記事は2022年12月現在の情報にもとづいて作成されています。法律の改定に伴い、掲載されている内容と変化する場合もあるため、最新情報は厚生労働省のページをご確認ください。

入社手続きの流れ|6ステップ

最初に入社手続きの流れを確認しましょう。入社手続きは次の6ステップに分けられます。
それぞれ期日があるため、あわせて確認しましょう。

入社手続きの流れ

1.入社前|入社手続きの案内を送付

内定者に入社に向けた案内や手続き内容、必要書類を通知します。
案内は郵送でもメールでも構いません。対面で会う機会があれば、手渡しでも良いでしょう。

同封すべきものの例(郵送時)

  • A4の封筒(送付用)
  • 添え状
  • クリアファイルに入れた必要書類
  • 返信用封筒

郵送の際は、手元から出した書類が届け先に配達されているか調べられる「郵便追跡サービス」などを利用すると安心です。雨が降って封筒が濡れても中身に影響がないよう、クリアファイルなどに入れるとなお良いでしょう。

従業員が希望すれば、入社手続きをメールやクラウドサインなどのデジタル上のみで行う場合も可能です。その際は、以下になるように条件に合うソフトを選定しましょう。

  • 企業と労働者本人だけが閲覧可能
  • 労働者本人が自由に出力できる

メール文面の例

件名:入社手続きのご案内

〇〇 〇〇様

お世話になっております。先日は最終面接にご足労いただき誠にありがとうございました。

株式会社◯◯ ◯部の◯◯です。

選考の結果、◯月◯日付けで◯◯様の内定が決定いたしました。

つきましては、入社に際し必要な書類を本日お送りします。

▼該当書類の確認先
(雇用管理システム先のURL)

▼提出マニュアル
(アップロード、必要事項の記入のURL)

▼提出書類(一例)

  • 入社誓約書
  • 身元保証書
  • 健康診断書
  • 卒業証明書

必要事項を記入のうえアップロードし、完了しましたら◯月◯日までに××までご連絡くださいますよう、お願いいたします。

今後の流れといたしましては、◯◯様の内定のご承諾の確認が取れ次第、入社手続きを進めてまいります。

手続きについてご不明な点がありましたら、担当までお気軽にお尋ねください。

改めまして、この度は数ある企業のなかから弊社募集に応募してくださいましてありがとうございました。

◯◯様と一緒に働ける日を楽しみにしております。

今後ともよろしくお願いいたします。

********************************************

会社名

所属部署

担当業務 氏名 <メールアドレス>

郵便番号

住所

電話番号 FAX番号

********************************************

2.入社日|必要書類を提出してもらい、確認する

新卒社員と中途社員では、入社手続きに必要な書類が異なります。 迅速かつ間違いのない手続きを行うため、必要書類を正しく把握しましょう。

書類は、紙で従業員から回収した場合は紙で、電子手続きの場合はクラウド上にいつでも確認できる状態で保存しておくことが望ましいとされています。なお、紙で保存する場合もクラウド上で保存する場合も、保存期間は書類によって定められていますので注意しましょう。

入社手続きに必要な書類一覧

新卒社員 中途社員
入社前までに社員に渡すべき書類
1 採用(内定)通知書
2 入社承諾書・誓約書
3 労働条件通知書
入社日以降に手続きが必要になる書類
4 基礎年金番号通知書(もしくは年金手帳)
5 扶養控除等申告書
6 給与振込届出書
7 マイナンバー (マイナンバーカードの両面コピーもしくは、番号確認書類・本人確認書類のコピー)
8 労働者名簿
9 賃金台帳
10 出勤簿
11 給与所得者の扶養控除(異動)申告および源泉徴収簿
12 源泉徴収票 -
13 雇用保険被保健者証(中途採用の従業員のみ) -
※雇用保険の加入経験がある場合に必要
14 健康保険被扶養者異動届(扶養家族のいる場合のみ)
※扶養家族がいる場合に必要

※扶養家族がいる場合に必要

書類それぞれの目的や詳しい対象については、入社手続きに必要な書類の章で解説しています。

3.入社直後|法定三帳簿を作成する

法定三帳簿とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」のことをいい、労働者数に関係なく原則として事業者ごとに作成し備え付ける必要があります。なお、これらの書類は改正労働基準法等に関するQ&Aに一定期間の保存の義務付けについて詳しく書かれています。

2020年4月施行の改正法により5年間の保存が必要になりましたが、経過措置として当分は3年間の保存でも良いとされています。

詳しい書類の内容は、のちの「入社手続きに必要な書類」の章で解説します。

また、法定三帳簿に2019年4月施行の改正法により「年次有給休暇管理簿」を加えて、法定四帳簿ということもあります。年次有給休暇管理簿は、保存期間が該当する年次有給休暇の期間と期間満了後3年間であり、労働者名簿または賃金台帳への追記などの対応も可となっています。そのため、入社手続きでは作成しなくてもよく、本記事では詳しくは解説しません。ただし、年次有給休暇を与える際には必ず作成しましょう。

4.入社日より5日以内|社会保険の加入手続きを行う

社会保険は公的な費用負担により、被保険者・被扶養者が病気や怪我、介護や失業、労働災害に備えるための制度です。

入社手続きに関わる社会保険は健康保険と厚生年金保険の2種類です。

健康保険 病気や怪我、出産など、労働能力を一時的に喪失した労働者に対する短期的な給付を行う
厚生年金保険 老齢、死亡、障害などによって労働能力が永久的に喪失した者に対する長期的な給付を行う

健康保険・厚生年金保険のどちらも国、地方公共団体または法人の事業所、あるいは一定の業種であり常時5人以上を雇用する個人事業所では強制適用となっています。適用事業所で働く労働者は加入者となります。

対象

  • 法人事業所である個人事業所
  • 従業員が常時5人以上いる個人事業所
  • 常時従業員を5人以上雇用している法定16業種の個人事業所

法定16業種

  • 製造業
  • 鉱業
  • 電気ガス業
  • 運送業
  • 貨物積卸し業
  • 物品販売業
  • 金融保険業
  • 保管賃貸業
  • 媒体斡旋業
  • 集金案内広告業
  • 清掃業
  • 土木建築業
  • 教育研究調査業
  • 医療事業
  • 通信報道業
  • 社会福祉事業

社会保険の加入手続きは、従業員を雇用してから5日以内に年金事務所で行う必要があります。加入時に提出する書類は、以下の通りです。

社会保険加入時に提出する書類

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 年金額の改定通知書のコピー(または年金証書)
  • 国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届

5.入社月の翌月10日まで|雇用保険の加入手続きを行う

雇用保険は、労働者が失業した場合に生活の安定と就職の促進のための失業保険等給付を行う保険制度です。

対象

事業所規模にかかわらず、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人を雇い入れた

雇用保険の加入手続きは、雇用した日の属する月の翌月10日までにハローワークで行います。雇用保険加入に必要な書類は雇用形態に応じて異なりますが、基本的には以下の書類の用意が必要です。

雇用保険加入時に提出する書類

  • 雇用保険被保険者資格取得届
  • 雇用保険被保険者証
  • 労働者名簿
  • 出勤簿またはタイムカード
  • 雇入通知書(パートタイマーの場合)
  • 派遣契約書(派遣労働者の場合)

6.入社月の翌月10日まで|住民税の申告手続きを行う

住民税には、普通徴収と特別徴収の2種類があります。

普通徴収は、納税義務者が市区町村へ納税する方法で、自営業者やフリーランスの人を対象にした納税方法です。

一方、特別徴収は、納税義務者である従業員などの給与から、事業主(給与支払者)が毎月住民税を差し引き、納税義務者に代わって市区町村へ納税する方法です。新卒社員・中途社員は全て特別徴収の対象です。 特別徴収の場合には企業が給与天引きして翌月10日までに各市町村に納付するルールになっています。

ただし、前年中に給与の支払いを受けており、かつ、当該年度初日(4月1日)において給与の支払を受けている者は特別徴収の対象となります。アルバイトやパートであってもこの要件に当てはまる場合には、入社手続きで特別徴収への切り替えを行う必要があります。

住民税の特別徴収の手続き

現在特別徴収で、継続して特別徴収を行う場合

各市区町村が定めている期日までに提出

  • 未使用の住民税の納付書、もしくは納付済みの領収書
  • 特別徴収への切替申請書

※普通徴収の納付期限が過ぎている月のものは、特別徴収への切り替えはできません

現在普通徴収で、特別徴収に切り替える場合

翌月の10日までに提出

  • 特別徴収にかかる給与所得者異動届出書

なお、前年の所得に対して課税されるため、従業員に前年の所得がない場合は、翌年の5月末まで住民税はかかりません。

入社手続きに必要な書類

新卒社員・中途社員の入社手続きに必要となる書類の目的・対象・期限などをあらためてまとめました。細かく解説しているので、社員からの質問や困ったときにあわせてご確認ください。

1.採用(内定)通知書

採用(内定)通知書とは、企業が応募者に対して「雇用することを承諾する」という意思表示の証拠として提示する書面のことです。

様式や記載項目、発行時期は企業の裁量に委ねられており、書面での発行義務がありません。そのため、企業によっては採用(内定)通知書を交付せず、口頭やメールで内定の連絡をするところもあります。ただし、多くの会社では通知書として作成されています。

採用(内定)通知書の記載項目

  • 採用応募についての御礼
  • 採用内定のお知らせ
  • 入社日(未定の場合は、別途連絡する旨を記載)
  • 問い合わせ先(人事・総務担当者の連絡先、担当者名)

2.入社承諾書・誓約書

入社承諾書・誓約書とは、入社意思を確認するための書類です。入社日から起算して、3年間の保管が必要です。

入社承諾書・誓約書の記載内容

  • 就業規則に関すること
  • 履歴書の記載事項に関すること
  • 秘密保持や損害賠償に関すること
  • 入社日
  • 入社後の待遇

3.労働条件通知書

労働条件通知書とは、企業と労働者が労働契約を結ぶ際に交付が義務付けられている書面のことです。労働基準法により、以下の記載項目を書くよう定められています。

労働条件通知書に記載すべき項目

  • 労働契約の期間
  • 就業場所
  • 従事する業務
  • 始業・終業時刻
  • 所定労働時間を超える労働の有無
  • 休憩時間
  • 休日・休暇
  • 賃金の計算方法・支払日・支払方法
  • 解雇を含む退職に関する事項

なお、雇用契約書を結ぶ企業も多いかもしれません。雇用契約書は企業と従業員の間で雇用契約の内容について合意がなされたことを証明するための書面であり、記載項目は労働条件通知書と同様になることが多いです。

4.基礎年金番号通知書、もしくは、年金手帳

年金手帳
基礎年金番号通知書

引用:基礎年金番号・年金手帳について|日本年金機構

目的 被保険者資格取得届の提出
手続き 社員の提出を受けて、基本的に会社が保管。退職時に返却。

厚生年金に関する書類として、企業は日本年金機構に被保険者資格取得届を提出する必要があります。この届出の従業員の基礎年金番号の記入のため、従業員には会社の求めに応じて基礎年金番号通知書(または年金手帳)を提出する義務があります。

提出された基礎年金番号通知書(または年金手帳)は基本的に会社が保管し、退職時に返却します。ただし、基礎年金番号通知書(または年金手帳)をそのまま預けることは義務づけられていません。処理が済んだ時点で従業員に返却することは可能です。

なお、年金手帳は令和4年4月をもって廃止されましたが、すでに年金手帳の発行を受けている者には基礎年金番号通知書は発行されません。そのため、これまで通り年金手帳を使っても問題ありません。

5.扶養控除等申告書

目的 年末調整
手続き 会社から書類を社員に送付し、必要事項を記入・捺印して提出してもらう

扶養控除等申告書は、その名の通り扶養控除などに関する書類です。ただし、扶養家族がいない場合でも提出してもらわなければならない点には注意が必要です。

実際のフォーマットは各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)|国税庁からダウンロードできます。

6.給与振込届出書

目的 給与振込を受ける金融機関の口座への届け出
手続き 会社から書類を社員に送付し、必要事項を記入して提出してもらう

場合によっては、支店名と口座名が記載された銀行通帳のページのコピーの提出を求める必要があることもあるため、社内での確認が必要です。

7.マイナンバー

目的 雇用保険や社会保険、年末調整などの手続き
手続き 従業員からもらったコピーからマイナンバーを確認し、雇用保険や社会保険の必要書類に記入する、年末調整などのために控えておく

マイナンバーは個人情報のため、収集時には「雇用保険や社会保険、年末調整などの手続きに必要である」と用途を伝えるように気をつけましょう。

マイナンバーカードを取得している場合と取得していない場合で提出書類が異なりますので、以下を参考にしてみてください。

(1)マイナンバーカードを取得している場合

マイナンバーカードの両面コピーを提出します。
カードの裏面で番号確認をおこない、表面で本人確認をおこないます。

(2)マイナンバーカードを取得していない場合

カードを取得していない場合には、番号確認と本人確認のため、以下の必要情報が得られるもののコピーを2枚以上提出する必要があります。

  • 番号確認
    1. 通知カードもしくは、マイナンバーが記載された住民票
  • 本人確認
    1. 運転免許証もしくは、パスポート

顔写真付きの身分証を持参していない場合には、健康保険証と基礎年金番号通知書(または年金手帳)も提出する必要があるので、注意しておきましょう。

8.労働者名簿

主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省からダウンロードできます。

法令上の決まり

使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日々雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。

記載項目

  1. 1.性別
  2. 2.住所
  3. 3.従事する業務の種類
    (常時30人未満の労働者を使用する事業については記入不要)
  4. 4.雇入の年月日
  5. 5.退職の年月日およびその事由
    (退職の事由が解雇の場合はその理由を書く必要がある)
  6. 6.死亡の年月日およびその原因

保存期間・起算日

  • 書類の保存期間は、消滅時効の改正を内容とする民法の改正に合わせて5年に延長
  • 経過措置として当分の間は3年とされている
  • 保存期間の起算日は、「労働者の死亡・退職・解雇の日」となる

様式

  • 第19号の様式を使用
  • 記載内容に漏れがなければ会社独自の様式で作成しても問題なし

9.賃金台帳

主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省からダウンロードできます。

法令上の決まり

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

記載項目

  1. 1.労働者氏名
  2. 2.性別
  3. 3.賃金の計算期間
  4. 4.労働日数
  5. 5.労働時間数
  6. 6.時間外労働時間数
  7. 7.深夜労働時間数
  8. 8.休日労働時間数
  9. 9.基本給や手当等の種類と額
  10. 10.控除項目と額

保存期間・起算日

  • 書類の保存期間は、消滅時効の改正を内容とする民法の改正に合わせて5年に延長
  • 経過措置として当分の間は3年とされている
  • 保存期間の起算日は、「労働者の最後の賃金について記入した日」

様式

  • 通常の労働者(常用)の場合は様式20号を使用
  • 日雇い労働者の場合は様式21号を使用
  • 労働者名簿同様、記載内容に漏れがなければ会社独自の様式で作成しても問題なし

10.出勤簿

主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省からダウンロードできます。

出勤簿は、労働基準法に明記されていない任意の書類です。

しかし、2017年1月20日に策定された厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録に関する書類を保存しなければならないことが明記されています。

記載項目

  1. 1.出勤簿やタイムレコーダー等の記録
  2. 2.使用者が自ら始業・終業時刻を記録した書類
  3. 3.残業命令書およびその報告書
  4. 4.労働者が記録した労働時間報告書等

保存期間・起算日

  • 書類の保存期間は、消滅時効の改正を内容とする民法の改正に合わせて5年に延長
  • 経過措置として当分の間は3年とされている
  • 保存期間の起算日は、「労働者の最後の出勤日」

様式

  • 任意

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11.給与所得者の扶養控除(異動)申告および源泉徴収簿

給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁からダウンロードできます。

従業員が入社したら、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらう必要があります。ただし、従業員に前職がある場合は、前職の「給与所得等の源泉徴収票」も提出してもらいます。

給与の発生した月の翌月10日が会社が税務署に源泉徴収税を納付する期日なので、その期日に間に合うように必要書類を提出してもらうことに注意してください。

事業主側では、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」および「給与所得等の源泉徴収票」に基づいて「源泉徴収簿」を作成します。

記載項目

  • 氏名・住所など
  • 源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族
  • 住民税に関する事項

保存期間・起算日

  • 申告書等の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間

様式

  • 任意

12.源泉徴収票

目的 年末調整を適切に行い、1年間の給与総額を把握する
手続き 前の職場を退職する際に受け取った原本を社員から提出してもらう

入社タイミングが退職と同じ年である場合には、源泉徴収票を提出してもらうものの、入社が年明けになる場合には、提出しないこともあるので該当の新入社員の退職日、入社日の確認を念入りに行いましょう。

13.雇用保険被保健者証

目的 雇用保険への加入
手続き 前の職場を退職する際に受け取った原本を社員から提出してもらう

中途採用の従業員で、以前雇用保険に加入経験がある場合は、雇用保険の資格取得手続きにて「雇用保険被保険者番号」の確認が必要です。

雇用保険被保険証が発行される条件

  • 1週間の労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上の継続した雇用が見込まれること

雇用保険被保険証は基本的に従業員を雇った会社側が発行を行うことになっています。

万が一、新入社員が前職の退職時にもらっていない場合、または雇用保険被保険証を紛失してしまっている場合には、居住地を管轄しているハローワークで再発行を依頼するように伝えましょう。再発行は電子申請や代理申請、郵送申請なども対応可能なので、ハローワークに直接行けない場合は検討しましょう。

14.健康保険被扶養者異動届

目的 社会保険の手続き
手続き 会社から渡す書類に必要事項を記入・捺印して提出してもらう

扶養控除等申告書とは異なり、扶養義務のある家族がいない場合は提出の必要がないことに注意してください。

その他:業種や仕事内容により必要になる書類

ここまでどんな業種でも必要となる最低限の書類を提示してきました。ただし、業種や仕事内容で必要な情報によって必要となる書類は異なります。

社内でどういった人を雇用するのかによって調べる必要がありますが、多くの会社で作成している書類をまとめました。

名称 目的・説明 必要となるケース
身元保証書 身元保証人がある人の身元保証などを行う際の契約書。 金銭的なリスク回避・不正防止のために自社で必要だと判断した場合
※法律で義務付けられてはいない
従業員調書 従業員の家族情報など、人事管理の基本資料となる書類。履歴書で代用することもある。 社内で履歴書とは別で基本資料がほしいとなった場合
住民票記載事項証明書 労働者名簿を作成して適切に雇用管理をするために回収する。 「住民票の写し」よりも「住民票記載事項証明書」が望ましいと判断した場合
※法律で定められているわけではないが、労働基準監督署長からの行政通達では、本籍地の記載がない「住民票記載事項証明書」を回収するのが望ましいとされている。
免許や資格に関係する書類 職種によっては業務に就くために知識や能力を証明することが必要となる。
  • 医療職や士業などの専門職の資格取得証明書
  • ドライバーなどの無事故・無違反証明
卒業証明書 学歴の確認のために求める場合がある。中途採用の場合、提出を求めることはほとんどない。 新卒社員や第二新卒社員などの雇用時
成績証明書 新卒を採用する場合には、企業によっては大学を卒業できることや人物像を把握するために回収する企業もある。 第一新卒社員の雇用時
健康診断書 企業が従業員を雇用するときは健康診断を行うか、入社前の3ヶ月以内に受けた健康診断の結果を提出する必要があるため、提出を求める企業が多い。 対象の従業員を常時雇用(1年以上継続して、週の労働時間が正社員の4分の3以上)する場合
退職証明書 前職を退職したことを証明する書類。複数の企業に重複して所属していないことを証明する書類。 中途採用で副業を禁止している場合

入社後、一定期間保管が必要な書類

保管の必要な書類を改めてまとめると以下のようになります。

また、紙で従業員から回収した場合は紙で、電子手続きの場合はクラウド上にいつでも確認できる状態で保存しておくことが望ましいでしょう。

書類の保管期間

2年保管 健康保険・厚生年金保険に関する書類
3年保管 入社承諾書・誓約書
身元保証書
労働者名簿、雇入または退職に関する書類
4年保管 雇用保険の被保険者に関する書類
5年保管 健康診断書
身元保証書

入社手続き書類作成における3つの注意点

入社手続きの書類作成に取り組む上で気をつけるべきことが大きく分けて3つあります。

1.必要書類の提出形式を確認し、早めに周知

社員から提出してもらう書類には「社員が持っているものをそのまま提出するもの」と「会社が指定する所定のフォーマット」に必要事項を記入して提出するものがあります。

雇用保険被保険者証や源泉徴収票、卒業証明書、免許、資格に関係する書類などは、そのままの形式で提出してもらえれば問題ありません。

しかし、扶養控除等申告書や健康保険被扶養者異動届、入社誓約書、従業員調書は会社側が用意した形式に書いてもらう形になるので事前に作成が必要です。

会社側が作成したフォーマットに記入しなければならない書類は、準備に時間がかかることもあるので、新入社員にはなるべく早く必要書類と提出期限を伝達し、不備のない状態で提出してもらえるように事前に準備しておきましょう。

2.実印が必要な場合もある

入社手続き書類への捺印は、大抵の場合認印で問題ありません。ただし、身元保証書のように保証人の印鑑証明を提出する場合には、実印が必要になることもあります。実印とは市町村に登録したハンコのことです。

新入社員から質問があった際にすぐ答えられるように、事前に認識しておくとよいでしょう。

3.電子申請を活用する

紙ベースで行われることが多い入社手続きですが、入社手続き書類は電子化が可能です。電子化を行なうことで、新入社員の入社前に作業を進められるため時間の余裕を持って、入社手続きをできるというメリットがあります。

入社手続きを電子化する際、専用ソフト・アプリの導入が必要です。また、社会保険などの手続きを電子申請で行うためには、電子証明書の取得が必要なので注意しましょう。

入社手続きの電子化への社内合意が取れた場合は以下のサイトから電子申請利用マニュアルを確認してみてください。

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【ケース別】入社手続きで注意したいこと

ここまで入社手続きに必要なことを確認してきました。
最後に、派遣社員として雇用する場合、高齢者・障害者・外国人を雇用する場合は、特に注意する点があります。

派遣社員として雇用する場合

派遣社員の場合は、派遣先企業は入社手続きを行う必要はありません。
ただし、派遣業者と派遣先企業の間で「労働者派遣契約」を締結する必要がありますので、十分に注意しましょう。

高齢者を雇用する場合

65歳以上の高齢者を雇用する場合には、雇用保険と社会保険について注意が必要です。

雇用保険について、以前は年齢によって加入、非加入が変わったものの2017年1月1日から、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象となりました。 そのため、年齢に関わらず、「雇用期間」や「労働時間」といった加入条件を確認し、当てはまる場合は雇用保険に加入することが必要です。

社会保険については、厚生年金保険は「70歳まで」、健康保険は「75歳まで」を対象としています。したがって、厚生年金保険の場合「70歳未満」、健康保険の場合「75歳未満」の高齢者を新たに雇う場合には、それぞれ通常と同様の加入手続きが必要です。

社会保険や雇用保険の基準、手続きの流れについては、すでに解説した「入社日より5日以内|社会保険の加入手続きを行う」「入社月の翌月10日まで|雇用保険の加入手続きを行う」の章を参照してください。

障害者を雇用する場合

障害者を雇用する場合には「障害者雇用促進法」に基づき、他の雇用者とは異なる必要な措置を行う必要があります。

例えば、「合理的配慮の提供」やハローワークに対する「障害者雇用状況の報告」などが必要な措置などがあげられます。

給付金や助成金の対象となる場合があるため、内容の確認や申請を忘れないよう注意しましょう。

合理的配慮については厚生労働省「合理的配慮指針(概要)」をご確認ください。

外国人を雇用する場合

外国人を雇用する場合には「在留資格(就労ビザ)」や「パスポート」の確認が必要です。

日本国内に居住する外国人については、「現在の在留資格と新しい職務内容の比較」や「在留資格(就労ビザ)の変更」などを行うことがあげられます。

海外にいる外国人を日本に呼び寄せて雇用する場合には、「在留資格認定証明書の交付申請」や「在留資格認定証明書の送付」などを行います。

おわりに|入社手続きをスムーズにして良い労働環境を

入社時に必要となる6ステップと、手続きに伴い必要な書類について解説しました。

入社手続きは作るべき書類、流れさえきちんと把握できていれば作成に特別な能力は必要ありません。しかし、扶養者・職務経験の有無、その他年齢などで対応が異なる場合がありますので、対象となる社員の属性に合わせて不足のないように書類を揃えましょう。

また、入社手続きを円滑に終わらせた後は、勤怠管理にも工夫をすることでより良い労働環境を作ることができます。

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