職場にインポスター症候群と思われる方はいませんか?
客観的には優秀なのに自己評価が極端に低い心理傾向であるインポスター症候群の方は、社会に一定数いるとされます。
身近にインポスター症候群の疑いがある方がいると、どのように扱えばいいのかわかりませんよね。
そこで特徴と対処法について解説します。
会社がインポスター症候群の従業員にできる心理的なサポートについても解説するので、本記事を最後まで読めば効果的な対処につながります。
ぜひ参考にしてください。
インポスター症候群(英語名:impostor syndrome)とは、学業や仕事などで成功して周囲の人々から高く評価されているにもかかわらず、自分自身を過小に評価して否定的に捉えてしまう心理傾向を指します。
正式な精神障害ではないものの、インポスター症候群によって生じる不安や恐怖が原因で鬱病や適応障害などの精神疾患が起きる恐れがあります。
「インポスター症候群」という名称は1978年に心理学者のポーリン・R・クランスとスザンヌ・アイムスによって命名されました。インポスター(impostor)は「詐欺師」を意味しており、別名「詐欺師症候群」と呼ばれています。
詐欺師が過小評価の心理傾向の名前になっている理由は、インポスター症候群に該当する方の特徴の1つに「自分は優秀ではないのに周囲の人々に優秀だと思わせて(騙して)しまっている」という考えがあるからです。
インポスター症候群の症状は世界人口の約70%が経験するとされているが、自覚されるのは稀です。
一般的には男性よりも女性が発症しやすく、東京都の丸の内で働く女性会社員の約46.3%が「インポスター症候群」を自覚しているとする調査結果があります。
参考:PR TIMES「丸の内ワーキングウーマンの46.3%が「インポスター症候群」だと自覚あり!約5割が自己肯定できない事実」
インポスター症候群は珍しいものではなく、特に女性にとって身近な心理傾向であるといえます。
インポスター症候群に該当する方の特徴は以下のとおりです。
インポスター症候群の方の特徴
これらの特徴に当てはまる方はインポスター症候群の疑いがあり、後述するインポスター症候群の対処法やインポスター症候群の方のために企業が取り組めるサポートを行うと改善が期待できます。
インポスター症候群になる主な原因は以下の3つです。
インポスター症候群になる原因
原因ごとに詳しく解説します。特徴と合わせてインポスター症候群への深い理解に役立ててください。
職場や学校の人々から自己評価以上に高く評価されて大きな成果を期待されると「皆が評価してくれるのは自分が有能なフリをして皆を騙してしまっているからだ」と考えるきっかけになります。
「有能のフリをして皆を騙している」という感覚はインポスター症候群の特徴であり、常態化するとインポスター症候群になる恐れがあります。
兄弟・姉妹のいる家庭において親から優劣をつけられながら育った方は、人の評価を過度に気にするようになります。
「自分は兄弟・姉妹と比べて劣っている」と考えるようになると、インポスター症候群の特徴の1つである極端な劣等感に当てはまってしまうのです。
学校や家庭において皆と同じように振る舞うように教育された方は、自分と周囲の人々の間にギャップが生まれるのを恐れて周囲の人々と足並みを揃える「いい子」を演じがちです。
「いい子」を演じていると「皆を騙している」と考えて、インポスター症候群を発症しやすくなります。
インポスター症候群の改善が期待できる対処法は以下の5つです。
インポスター症候群の対処法
自分を褒めたり、感情をポジティブに変更したりするなど、具体的な対策を解説するので、インポスター症候群になるのを未然に防ぎたい方や、症状を改善させたい方は参考にしてみましょう。
インポスター症候群になっている方は自己評価が極端に低い傾向にあるため、自分を褒める習慣が大切です。
小さな成功体験でも自分を褒めるようにすれば時間はかかるものの自己否定が緩和され、症状の改善につながります。
インポスター症候群の方は恐怖や不安を感じやすく、事実を純粋に捉えず悪く解釈してしまう傾向にあるため、自分の感情を事実と切り離して考えると症状の改善が期待できます。
具体的には、嫌な気持ちになったときに感情と感情の原因になった事実を分けて紙に書き起こしてみたり、人から冷静な意見をもらって事実だけに注目できるようにしたりすると効果的です。
また自分の感情を無視すると無意識にストレスを溜め込んでしまう恐れがあるため、自分の感情は承認したうえで事実と切り離すことが大切です。
不安や恐怖などの感情は人と共有すれば緩和につながるほか、嫌な気持ちになる原因になった事実に対する客観的な評価によって自身への過小評価を解消する効果も期待できます。
普段から身近な人とコミュニケーションを取って相談しやすい環境を作ったり、厚生労働省のメンタルヘルスに関する電話相談窓口やチャットで悩み相談ができるNPOあなたのいばしょなどに連絡すると感情の共有が可能です。
また人との共有によって同じインポスター症候群の人が見つかり、解決策を提示してもらえるかもしれません。
事実と切り離した感情をポジティブに変換すると症状の改善につながります。
例えばミスをしても「自分はダメだ」と考えるのではなく「成長のきっかけを得られた」と考えると効果的です。
すぐに効果は出ないものの、続けていくうちにポジティブに変換する癖をつけられます。
人と自分を比較すると劣等感を感じてインポスター症候群を悪化させる恐れがあるため、周囲の人を見るときは比較の代わりに「何を学び取れるか」を意識するのがおすすめです。
比較ではなく学ぶ意識を持つと前向きになりやすくなり、インポスター症候群の改善が期待できます。
企業がインポスター症候群の従業員のために取り組めるサポートは以下の4つです。
企業が取り組めるサポート
コミュニケーションを取りやすい環境を作る、正確で肯定的なフィードバックを行うなどの具体的な対策を解説するので、インポスター症候群の従業員の活躍を促したい方は参考にしてみましょう。
従業員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を作ると、インポスター症候群の人が不安や恐怖を吐き出しやすくなります。
社内イベントを開催して従業員同士が交流を深められるようにしたり、上司とは別の先輩社員が従業員をサポートするメンター制度を導入したりすると効果的です。
嫌な気持ちが共有されれば緩和されるうえ、客観的な評価によって症状の改善につながります。
インポスター症候群の方が上司やチームのメンバーからフィードバックをもらえれば、客観的に自分自身を評価しやすくなって極端に低い自己評価の改善が可能です。
またフィードバックは事実に基づいた前向きな言い方で行うと自己否定を回避しやすくなります。
1対1のミーティングによって悩みなどを聞き出せる状況を作れば、インポスター症候群の方の感情が共有され不安や恐怖が和らぎやすくなります。また不安や恐怖の原因になっている事実に客観的かつ肯定的な評価をすれば、極端な自己否定の予防が可能です。
ミーティングでは、インポスター症候群の方が以下のストレスによる不調のサインに当てはまるかどうかを確認すると、精神的・肉体的な不調にも気づきやすくなります。
ストレスによる精神的・肉体的な不調サイン
精神的な不調サイン | 肉体的な不調サイン |
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ミーティングでストレスによる不調サインを気にしつつ悩みを引き出し、客観的かつ肯定的な評価をすればインポスター症候群の改善が期待できます。
従業員が安心して快適に働ける職場にできれば、インポスター症候群の方を含めた従業員のパフォーマンス向上と離職率低下につながります。
具体的に取り組める改善施策の例は以下のとおりです。
改善施策の例
特に勤怠管理はミスが発生すると従業員の安心と会社に対する信頼を失う可能性があるため重要です。そして勤怠管理にはツールを活用するとミスを予防できるうえに手間が減らせます。
勤怠管理ツールを選ぶときは10人までは永久に無料、11人以上の場合でも月額1,980円の「フリータイムレコーダー」のように、人数やデータ保存の容量に合わせて活用できる選ぶと、状況に応じて使い分けられます。
勤怠管理を含めた改善施策によってインポスター症候群の従業員を含めた皆が働きやすい環境の作成が可能です。
インポスター症候群であったとしても、事実と感情を切り離してポジティブな感情になるように努めれば、精神的な健康を維持して楽しい生活を送れるようになります。
職場にインポスター症候群の疑いがある方がいる場合は、以下の本記事でまとめた特徴や対処法などを参考にしてください。
本記事の内容まとめ
適切な対処をすれば、インポスター症候群の従業員でもパフォーマンス向上と職場への定着が期待できます。
Q1.インポスター症候群とは何? |
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インポスター症候群(英語名:impostor syndrome)とは、学業や仕事などで成功して周囲の人々から高く評価されているにもかかわらず、自分自身を過小に評価して否定的に捉えてしまう心理傾向を指します。 詳しくは「インポスター症候群」とは極端に自信がない状態で解説しています。 |
Q2.インポスター症候群の対処法は? |
インポスター症候群の対処法には以下の5つがあります。
対処法ごとの詳細はインポスター症候群の対処法で解説しています。 |